保育士の求人・転職のことならCMEコンサルティングへ/保育士の求人・転職なら【CME保育士】

CME保育士コラム

プライベートがない……保育士特有の近場で働くデメリット

いきなりですが、就職・転職活動を行うとき、どのような条件で職場の候補を絞っていくでしょうか。

 

たとえば、「給与待遇がいい」「園や運営主体の保育方針が、自分の保育観と合う」「残業や持ち帰りの仕事が少ない」「自宅から職場が近い、または交通のアクセスが便利」など、おそらくほとんどの人はたくさんの条件のなかで優劣をつけ、就職・転職活動をすすめていることと思います。

 

東京都保健福祉局が行った平成30年度東京都保育士実態調査では、「職場選択に重視した項目は?」の問いに対して、多い回答から順に勤務地(自宅から近い等)、職場の人間関係、給与が高い、と続きます。いずれも半数以上の回答者が重視する項目として挙げていますが、一番多かった「勤務地(自宅から近い等)」にいたっては回答者全体の72.5%、約4分の3もの人が重視していると分かりました。

 

確かに通勤時間の短さは幸福度にも影響すると言われているように、近ければ近いほどいいのかもしれません。しかし、保育士にとっては、保育士特有の理由からデメリットとなることもあります。それは何か、この記事では、敢えて「自宅から近い職場で働くデメリット」に着目し理解を深め、今後の就職・転職活動に活かすべきことについて解説していきます。

 

 

家近くの職場で働くデメリット

先述の通り、就職・転職先を決めるうえで「自宅から職場が近すぎない」という条件を重要視している保育士は、しばしば見受けられます。その理由は2つ。仕事と私生活の切り替えが難しい、そして退職しづらいという理由です。

 

(1)仕事と私生活の切り替えが難しい

自宅から近い保育施設で働くということは、保育施設を利用する多くの園児やその保護者と同じ生活圏で過ごしているということであり、休みの日に出先でばったり会います。自分に子どもがいれば、学校や地域行事で会うことも。

誤解恐れずに言うと、私生活で園児や保護者に絶対に会いたくないわけではありません。

 

保育士は専門職なので、常に保育士としての倫理ある行動が求められています。厚生労働省から告示されている保育所保育指針では、保育士の専門性について『倫理観、人間性並びに保育所職員としての職務及び責任の理解と自覚が基盤となる。』と記述されていました。

つまり、保育士としての知識や技術を修得する前提には人間性や倫理観が備わっていることが求められているということです。

たとえば、飲酒運転事故のニュースでは職業に会社員と表示される人もいますが、教師や医師、弁護士などは職業名が表示されます。保育士も同様です。職業への信用を失う行為をしないよう、職務中かどうかに限らず、倫理観や人間性が常に求められています。

 

これが、ときにはしんどく感じるときもあり、とりわけ自宅から近い職場で働く保育士は、仕事以外でも園児や保護者に会う機会が多いため、自宅から近い職場で働くことをデメリットとして考える人もいるわけです。

 

休みの日に「仕事でとても疲れているから、今日はDVDでも見ながら家でゆっくり休もう」とレンタルショップに行ったときに園児に会うと、どんなに疲れていても笑顔で気持ちよく対応することが求められます。とりわけ、「先生たちは保育園で暮らしている」と思い込んでいる子もいるくらいに純粋な子どもたち相手には、「あぁ、先生も今日休みだから疲れているのだろう」と理解してもらうのは困難なこと。プライベートで会ったお笑い芸人は物静かだった、というようにがっかりされた保育士に対するイメージが崩れたりしかねません。

 

また、もうひとつ、保育士と園児・保護者との関係性によるところもあります。

よく買い物に行くスーパーやコンビニ、アパレルショップ、あるいは定期的に利用する美容院や歯医者などで考えてみましょう。そこで働く人や店の雰囲気が合わなかったり想像と違っていたりしたら、多少の不便があっても多くの場合は代わりの店や病院が見つかることと思います。店側も他の利用客に迷惑をかける人は出入り禁止にすることができるので、利用する側も利用してもらう側も相手を選ぶことが可能です。

 

一方で、保育園の場合はどうでしょうか。

「保育園に入園できるだけ良かった」と言う人もいるほどに待機児童が多い現在は、入園後に何らかの理由で転園を考えても、現実はそうスムーズにはいかないでしょう。保育園側としても、いくら事あるごとに園に難癖をつけてクレームをいれるからと言っても、保育園は福祉施設でもあることを鑑み、保育の必要性が認められる保護者に対して退園を促すことはよほどのことではない限りないのが現状です。認可保育園なら、入園可否の決定権は行政にあるので、そもそもその権限がありません。

 

つまり、すべての保護者と保育士が良好な関係にあればいいのですが、なかには対応が難しい保護者もいて、避けたくても長年関わっていかなければならないうえ、近所でこちらだけ気付いたときや友人や交際相手と一緒にいるところを見られたときにどうすべきか困ることもある、ということです。

 

もしかしたら、こちらは気にしなくても、保護者側が話しかけられたり見られたりしたくないことがある場合も……。生活圏域が同じことにより、休みの日にも相互が気を遣い、いらぬ憶測をしてしまう恐れが出てきます。

 

 

(2)退職しづらい

人間関係の悪化やブラックな職場環境などのネガティブな理由で退職を考えたとき、自宅から近いことがネックとなり退職しづらくなります。

 

退職後も、園児や保護者とは会うことがあるでしょう。そこで「あの先生、すぐに辞めた先生だ」と思われたり、あるいは保護者とは良くても「昨日、〇〇先生と○○で会いました!今は○○で働いているらしいですよ」と送迎時の会話で広まったり…。

せっかく、心機一転で転職しても、これでは気持ちの切り替えが難しいですよね。

 

円満退職する人も多くいるので、これは必ずしもではありません。

 

けれども、平成30年度東京都保育士実態調査によると、退職理由として人間関係、給与が安い、仕事量が多い、とネガティブな理由を挙げる人が多かったことが分かっており、誰にでも起こり得る話でもあります。

 

 

では今後の就職・転職活動はどうする?

自宅から近い職場で働くデメリットを踏まえ、今後の就職・転職活動ではどのように職場を決定していくといいでしょうか。

 

結論から言うと、情報は広く集めることからはじめ、最終的には深々と掘り下げることが就職・転職活動の中核となる、ということです。

 

「(1)仕事と私生活の切り替えが難しい」はそのデメリットだけで考えると、自宅の近所ではない一定の距離が離れたところで職場を探す、というのがいいかもしれません。しかし、交通のアクセスが便利か、交通費が支給されるのかといった、他の懸念すべきデメリットが出てくる恐れもあります。

 

自宅から近いという条件で職場の選択肢を狭めず、たとえば「1時間以内で通勤できる」のように、情報収集の最初の段階は広い範囲で行うようにしましょう。

 

「(2)退職しづらい」というデメリットは、情報を深掘りすることで心配事を減らしていきます。募集項目と矛盾することが無いかなど、ネガティブな理由で退職しなくて済むことが大切です。

 

転職することに重きをおくのではなく、転職後にどれだけ自己実現ができるのか。給与待遇や職場の人間関係、またはワークライフバランスも自己実現の重要な要素ですね。

情報収集の第2の段階では、自己実現を達成するための要素に優劣をつけつつも、総合的に見てどの職場がいいかを徹底的に比較していきましょう。

 

自宅から近い職場で働くデメリットに着目しましたが、もちろん自宅近くで働くことをひていするものではありません。このようなデメリットもあるということを知り、また他にもメリットと思っている条件がデメリットとなる可能性もあるということを頭の片隅に留めておきましょう。