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CME保育士コラム

縦割り保育と横割り保育のメリット・デメリット

いきなりですが、縦割り保育とは何か、知っているでしょうか。

 

縦割り保育とは、統合保育や自由保育と同じ保育形態の1つです。保育士資格をもっている方にとって既に馴染みのある言葉かもしれませんが、子どもを預ける保育園を探している保護者の方からは「縦割り保育って何ですか。」とよく聞かれるように、一般的にはどのような保育内容か分からないという人も多いようです。

 

そこで今回は、保育園でこれからパートとして働こうと思っている無資格の方や、資格取得を考えている方にとっても縦割り保育について理解していただけるよう、分かりやすく説明していきます。

 

 

縦割り保育と横割り保育のちがい

 

横割り保育とは?

横割り保育とは、同学年の子どもが同じクラスに所属し一緒に保育生活を過ごすことを言い、多くの保育園がこれに当てはまります。特に、0~2歳児クラスでは体格や発達過程の差が月齢によっても全く異なるので、横割り保育を行うことによって園児の安全面を確保します。

お座りやハイハイができない0歳児の赤ちゃんと、活発に走り回っていたい2歳児の子どもを同じ部屋で保育していては、最悪不慮の事故を起こすことにつながりかねないからです。その心配を最小限に、発達段階に合った保育を進めることができるのが「横割り保育」なのです。

 

縦割り保育とは?

他方、縦割り保育とは、異年齢の子どもと一緒に保育することを言います。「異年齢保育」や「混合保育」も同じ意味として使われていますが、混合保育においてはノーマライゼーションの考え方のもと、つまりは障害の有無や性別、年齢によって区別されることなく、生活や権利が保障されたバリアフリーな環境を整えていくという考え方のもと、障害をもつ子どもと健常児を同じ環境下で一緒に保育を行うことを指す場合もあります。

 

縦割り保育が近年、さらに注目されるようになった背景に少子化社会の進展があります。先日、2019年に生まれた子どもの数が86万4千人であり、初めて90万人を下回るとニュースで報じられました。2016年に「出生人口が初めて100万人を下回った」と報道されてからわずか3年後に報じられたこのニュースから、今後も少子化が急激に進んでいくことが想定されるでしょう。

それに伴い、兄弟姉妹が少ない子どもが増えつつあり、そして地域との関係性が希薄化している中で異なる年齢の子ども同士のかかわりが減少していくと指摘されており、意図的に異なる年齢の子ども同士が関わることのできる環境を保育に組み込もうとする保育園が増えています。また、少子化社会によって特に過疎地域においてやむを得ない状況で縦割り保育を導入しているという保育園があるのも現状です。もちろん、少子化の進展に関わらず、縦割り保育の意義を見出して導入している保育園もあります。

 

縦割り保育の意義は何か、新読書社が出版している本『ききょう保育園の異年齢保育(ききょう保育園・諏訪)』の中で、日本保育協会の「保育所の保育内容の実態に関する調査」結果が紹介されています。

そこでは、異年齢混合で保育する理由について、回答率が高いものから順に以下の結果となっていました。

 

・優しい思いやりの気持ちを育むため(70.7%)

・人間関係を豊かにするため(60.6%)

・さまざまな人に受け入れられる基礎を育てるため(31.8%)

・積極的に人とかかわる力を身につけるため(28.8%)

・子どもが少ないため(23.0%)

・送迎の時間帯が異なり、同年齢だけでは保育できないため(16.3%)

・がまんする力を身につけるため(9.0%)

 

この調査結果から、総じて人とかかかわる力を育てることを意義として縦割り保育を実施している保育園が多いと言えるでしょう。家庭内や横割り保育だけでは得られにくい、性別や年齢に関係なく多様な人とかかわることができるのは縦割り保育ならではです。

保育園での縦割り保育の実態とは

ここまで、縦割り保育と横割り保育のちがいを解説しましたが、縦割り保育を導入している保育園は珍しくはありません。

日本保育協会の調査によると、「基本的に同年齢だが、異年齢で保育するときもある」と回答した保育園が72.1%と最も多いことが分かっています。「基本的に異年齢だが、同年齢で保育するときもある」の 10.1%と、「異年齢で保育をしている」の5.4%を合わせると、9割近い保育園が縦割り保育を取り入れています。

 

たとえば、

・平日は横割り保育だが土曜日は縦割り保育を取り入れている保育園

・お迎えの保護者が増えてくる16時頃から0~2歳児の未満児と3~5歳児の以上児の2クラスに分けて縦割り保育をしている保育園

・小学生の夏休みに合わせ、祖父母宅に一緒に預けられて登園する児童が減る夏休み期間に縦割り保育を取り入れている保育園

など・・・。

 

このように、横割り保育を基本としながらも縦割り保育を取り入れている保育園はかなり多く、「横割り保育のみ」や「縦割り保育のみ」の保育園よりもその数は多いです。

そして縦割り保育と横割り保育それぞれのメリットが得られるよう、保育士は場面に則した保育実践を行えることが望ましいとされています。そのためにも、次の項目にあるメリットとデメリットをしっかり抑えておきましょう。

 

 

縦割り保育のメリット

少子化社会の進展に伴って縦割り保育のメリットはたくさんあることは先述の通りですが、具体的にどのようなメリットがあるのか6つに分けました。

 

◆自立心の芽生えが強くなる

年下の子どもから見たメリットの一つです。

年長児がすることを見て、「自分もあんな絵が描けるようになりたい」「自分より小さい子に絵本を読んであげたい」と憧れをもつようになります。その憧れが自分の目指す姿となり、自立心が促され、保育士などから教わって身につくよりも自らのやる気によって身につくことが増えていくのです。

また、年長児によく面倒を見てもらい甘えることができた経験が、「まだ甘えたい」という欲求を満たし、結果的に自立心を促すとも言われています。

◆社会性が育まれる

縦割り保育では日々の生活や遊びの中で、年長児が年下の子どもにルールを教えたり、年長児がすることを年下の子どもが見て学んだり、互いにかかわりあう中で異年齢の子どもどうしのかかわり方を学んでいきます。

同年齢のお友達には話せば分かることも、年下の子には手本を示して説明し、時には隣について一緒にしてあげることが必要だと知ることができるのは、縦割り保育ならではです。年下の子どもも、横割り保育なら甘えられる存在は保育士だけですが、縦割り保育の中では年長児に甘えることで他人に優しくすることの大切さを知っていくでしょう。

一人っ子はもちろんそうですが、兄弟姉妹で長子ならば年長児に甘えたり、末っ子ならば年下の子どもと接したり、家庭で求められる役割とは異なる経験ができることによって兄弟姉妹への接し方にも変化が見られたということがよくあります。

 

◆場面に応じた役割期待を察知し、行動しようとする

先ほどの「社会性が生まれる」に通ずることでもありますが、遊びや保育活動などあらゆる場面において、本来の自分なら違う行動をとるところを周囲から期待されている役割を担おうとする行動に切り替えることができるのもメリットの一つです。

たとえば、年長児なら年下の子どもがいることによって手本となれるよう保育士の話を注意して聞こうとするでしょう。また年下の子どもなら、「分からない」「やりたくない」といった漠然とした気持ちを泣くことや他者に八つ当たりすることで悟ってもらうのではなく、自分の言葉で伝えようとすることが必要だと学んでいきます。

 

◆問題解決能力が高まる

縦割り保育では遊びの中で何かトラブルが生じたときなど、年長児が介入したり年長児に判断を委ねたりすることで、大人に頼らず自分たちで問題を解決しようとします。それが何度も繰り返されることで問題解決能力が高まると同時に、自分たちの自信も高まっていくのです。

子どもたちにとっては、保育士であっても大人の一人であり、年長児と比べて絶対的な立場の存在であると捉えられがちですが、異年齢とは言え子ども同士の場ではより意見しやすいので納得した解決に至りやすいというのも、自分たちで問題解決を図るきっかけになります。

 

◆感謝されることの喜びや感謝することの大切さを学べる

縦割り保育によって、年長児と年下の子どもが互いに何かをしたりしてもらったりする関係性の中で、してもらった時には感謝することの大切さを知り、してあげた時は感謝される喜びを知ります。

保育士に頼るよりも前に、まずは自分たちで周りの様子の変化に気付き解決しようとする環境が、感謝したりされたりする機会を増やすことに繋がっていると言えるでしょう。

 

◆アウトプット力が鍛えられる

遊びのルールにしても身支度にしても、人に教えることで自分自身の理解が深まります。どんなやり方が効率いいのか、どんな方法なら年下の子どもでもできるのか、さらにはどんな伝え方をしたらいいのか、一言「人に教える」とは言ってもいろんなことを考え実践する必要があるわけです。縦割り保育では「人に教える」機会が度々求められるので、アウトプット力が鍛えられることも期待されています。

 

 

縦割り保育のデメリット

ここまでで縦割り保育のメリットを列挙しましたが、メリットもあればデメリットもあります。ここからは、縦割り保育のデメリットをみていきましょう。

◆安全面の確保が課題

例えば、3~5歳児の以上児で縦割り保育を行う時、4月に既に6歳の誕生日を迎えた子もいれば、前年度の3月に3歳になったばかりの子も同じ環境下で同じ時間を過ごすということです。言うまでもなく、体格や体力の差は大きいです。

同じ「ぶつかった」でも、同年齢同士の子どもがぶつかる時よりも怪我のリスクが高いことは縦割りの保育のデメリットと言えるでしょう。

 

◆異年齢交流でストレスを抱える子どもも

これは、主に家庭内での役割と保育園での役割が乖離する子どもに時々みられることですが、例えば、家庭では末っ子として日頃から兄弟によく見てもらっている子どもが、保育園では年長児として年下の子どもに気を配ってあげることが求められる時に、「保育園でどのように接したらいいか分からず難しい」と感じることがあります。それまで求められていなかったことが保育園でのみ求められることで、ストレスを抱えてしまう子も中にはいるので配慮が必要です。

 

◆保育活動の内容が年長児にとっては物足りず、年下の子にとっては大変な場合も

保育内容が年下の子どもに合わせると年長児にとっては物足りなく感じ、反対に年長児に合わせた保育内容にすると年下の子にとってついていけなかったりする恐れがあります。どちらかに偏った保育ではなく、それぞれがそれぞれの楽しみ方ができるように保育内容を工夫する必要があります。

 

 

保育士にとっての縦割り保育

子どもにとって縦割り保育がメリットでもある一方、デメリット面をカバーするためには保育士がより一層の配慮や危機管理に努めることが大切です。

 

◆環境整備を充実する

保育士の話の内容が理解でき、ある程度の危険予測ができる子どもであっても、目の前のことに夢中になっていると注意が二の次になってしまうことがあります。事前に注意点を共有していたというだけでは不十分です。このスペースはお絵描きや絵本を読むところ、ここはブロックで遊ぶところ、といったようにおもちゃごとや遊び方によって場所を分けるなど、環境設定から安全面に配慮することが求められます。事故や怪我を未然に防げるよう常に細心の注意を払いましょう。

 

◆子どもたちの関係性を把握し、適切なタイミングで介入する

年長児が年下の子どもに対してどのように関わっているか、縦割り保育に慣れていない年下の子どもの中に不安感やストレスを抱えている子どもはいないか、といったことに気を配ることも大切です。

けれども、異年齢の子ども同士のかかわれる縦割り保育のメリットを最大限活かすために、保育士が介入しすぎるのも望ましくありません。例えば子ども同士が喧嘩を始めてもすぐに介入するのではなく、手を出しそうになるタイミングで怪我を防ぐために介入するなど、その時々で違う「適切なタイミングで」介入することが望ましいです。

縦割り保育は、保育士にとって横割り保育以上に配慮すべき事もありますが、年長児も年少児もそれぞれが楽しめるよう保育内容を工夫したり、自分たちで何かを達成する機会を多くもたせたりすることで、自ずと保育士がもつ保育の幅が広がるでしょう。

ほとんどの保育園では、縦割り保育を横割り保育と併用しています。ここでのメリット・デメリットを抑えた上で、横割り保育と縦割り保育で保育内容や子供とのかかわり方を工夫していきましょう。