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CME保育士コラム

需要は?将来性は?男性保育士に知ってほしいこと

「男性保育士」とは、その名の通り、男性の保育士という意味です。では、女性の保育士のことは「女性保育士」と言われているかというと、そうではありません。恐らく保育士の潜在的なイメージとして女性が思い浮かばれるからですが、それには、現在の「保育士」に至るまでの背景が一因となっているように思います。

 

特別視されてしまいがちな男性保育士の中には、世間が抱えるイメージから肩身の狭い経験をした方もいることでしょう。今回は、そのような男性保育士の現状と今後の展望について解説いたします。

 

 

男性保育士は年々増えているが割合はほぼ変わらない

厚生労働省が発表している『保育士登録者数等(男女別)』によると、最新の2019年4月1日時点の男性保育士は7,8080人。全体の保育士登録者数は1,598,556人なので、男性保育士の割合は約4.8%です。

その5年前となる2014年の男性保育士登録者数は54,423人。全体の保育士登録者数は1,246,352人で、男性保育士の割合は約4.4%でした。つまり、男性保育士の登録者数は年々増加しているけれども、女性保育士も同様に増加しているため全体人数に対する男性保育士の割合にほとんど変化はなく、それが「保育士」と言うと女性がイメージされる所以でしょう。

 

 

そもそも21年前まで保育士は「保母」と言われていた

今でこそ「保育士」という言葉は聞きなれていますが、21年前までは「保母さん」と呼ばれており、その頃の男性保育士は、資格名は「保母」でありながら通称として「保父」と呼ばれていました。

1986年に男女雇用機会均等法が施行されたのを受け、1999年児童福祉法改正によって名称が「保育士」へと変わったのです。そしてその4年後となる2003年、保育士資格が国家資格に位置付けられたのを機に男性保育士の人数が急激に増えたと言われています。

明治時代後期から始まった日本の保育の歴史から見ると、男性保育士が広く認知されるようになったのは最近のことと言えるかもしれません。

 

 

男性保育士の存在意義が問われている

男性保育士が広く認知されるようになったとは言え、その認知は人それぞれでしょう。

同じ保護者からの視点でも、「体力がある子どもの遊びに十分に付き合ってくれるので、男性保育士は頼もしい存在だ」と言う人もいれば、「男性保育士によるおむつ替えは絶対にイヤだ」と言う人もいます。

1つ言えるのは、男性保育士に対して否定的なイメージをもっている保護者の多くが性犯罪を心配しているということです。

 

記憶に新しいのは、今年の6月に報道されたベビーシッターサービスでの事件。保育士資格を所有する男性シッターが、コロナ禍で在宅テレワーク中だった母親がいた部屋の別室で5歳の女児にわいせつ行為をしたという報道です。

ベビーシッターサービスを運営している企業は、この男性シッターによる逮捕を受けて、『国や自治体との性犯罪データベースの共有が実現することや、安全性に関する十分な仕組みが構築されるまで、また、専門家から性犯罪が男性により発生する傾向が高いことを指摘された』ことを挙げて、すべての男性シッターによるシッターサービスを一時停止しています。

 

これの前に、熊谷俊人・千葉市長のツイッターでの発言も一時物議を醸しました。内容は以下の通りです。

 

「千葉市は男性保育士活躍推進プランを策定しました。

女性活躍を推進する一方、本来のダイバーシティ(多様性)を考えると男性が少ない保育現場などでは男性活躍を推進する必要があります。更衣室が無い、女児の保護者の「うちの子を着替えさせないで」要望が通ってきた等の課題が背景にあります。」 2017年1月20日

 

千葉市が策定したこのプランの中では、市立保育所に対して『保育士としてのキャリア形成のため、男性保育士も女性保育士と同じように、こどもの性別に関わらず、保育全般を行っていきます。保護者には市の方針であることを説明し、理解を求めます。』と明記したうえで、その他各保育施設でも保護者とのトラブル回避から性差による不当な対応をしないよう求められていました。

 

多くの男性保育士は職務を全うしているにもかかわらず、一部の男性保育士による性犯罪によって男性保育士全体への否定的な感情を生み出しているのです。そして、報道で取り沙汰される度に「保育士は女性だけではダメなのか」「男性保育士ならでは良さはあるのか」と男性保育士の存在意義が問われています。

性差による苦悩を抱える男性保育士は、決して少なくないでしょう。さらにもう一つ、男性保育士が苦悩するのが給与面です。

 

 

安月給を理由に他業種へ転職する人も

厚生労働省の『令和元年賃金構造基本統計調査』では、

・男性保育士の平均年収:389万円(32歳時点)

・全職種の男性平均年収:561万円(44歳時点)

という調査結果が発表されています。この調査結果では、年齢差があることを踏まえる必要はありますが、実際に、主任や園長といった役職につくまでは大幅な昇級が見込めずに転職に至る人もいるのが実情です。

とは言っても、保育士の就業場所は保育所に限らず、学童保育や施設にもあります。施設であれば、夜勤や宿直手当や特殊業務手当のように手当加算がされるところが多い上に、10代の男児の生活スペースで保育するのに男性保育士限定で求人が出される場合もあります。

保育所に限らずに広い視野で考えると、男性保育士が今後も求められていくことは間違いないでしょう。

 

保育現場では男性保育士への期待度が高い

保護者をはじめとする第三者からみた男性保育士への感情や意見は様々であると述べた通りですが、その一方で保育現場では男性保育士への期待度は高いです。

その理由は主に3つ。まず1つ目が、女性保育士より体力がある傾向にあるということです。底なしのような子どもの体力でも、子どもが疲れ果てて「お迎えの頃には遊ぶ体力が尽きてしまった」というほど一緒に身体を動かして子どもと過ごす男性保育士も多く、子どもからも一目置かれる存在です。

2つ目は、子どもたちにとって女性保育士よりも近い存在に感じられるということです。女性保育士が保育園でお母さんのような存在であるなら、男性保育士は「お兄ちゃん」のような存在。一歩引いて全体をみるというよりも、輪の中心から全体をみる男性保育士は、特に3歳以上の子どもたちにとってヒーローのように尊敬されています。

 

この2つに関しては、男性保育士だからこのようにあるべきというわけではありません。女性保育士よりもその傾向にあって、それが女性保育士や子どもたちからも一目置かれていることを紹介したまでです。男性保育士か女性保育士かということより、一人の保育士として高い専門性をもって保育に臨んでいるかということが最も大切なことなのは言うまでもありません。

 

そして最後に3つ目は、ライフイベントによる退職リスクが低いという理由です。

女性保育士の離職理由の上位には、結婚や出産、子育てなどとのライフバランスがとれる働き方が難しいという理由があります。その一方で、男性保育士の場合はその懸念が少なくて済み、雇用する運営事業者側からすると、離職率が高い保育職でも長年勤めてくれることが期待されています。

 

男性保育士に対するネガティブなイメージは、2018年から犯罪歴のある保育士に対して保育士資格の登録取り消しがなされるようになったように、今後も法改正が進むにつれて専門性が確保されるようになっていくでしょう。そしてそれと同時に、男性保育士自身によって、男性保育士に対する認知が改善されていくことを願います。