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CME保育士コラム

宗教的な園と一般的な園のちがい

保育園を運営する事業者で最もメジャーなのは、市や町が運営する公立または社会福祉法人です。待機児童問題の解決を図り、2015年度から施行された子ども・子育て支援新制度の中で「事業所内保育園」や「企業主導型保育園と」いう種類の保育類型ができ、株式会社などの一般企業による保育事業への参入が加速化したこともご存知の方は多いでしょう。

 

実際に、厚生労働省が発表している中で最新の調査『保育所の設置主体別認可状況等について(2016年時点)』によると、公立、社会福祉法人、株式会社が設置主体である保育園は全体の95%を占めています。残りの5%は、学校法人や宗教法人、NPO、個人や財団法人、社団法人です。

今日は、その中で宗教法人が運営する保育園に着目し、宗教的な保育園とそうでない一般的な保育園とのちがいを探っていきます。

 

 

保育の歴史と宗教は深く関係している

宗教法人が運営する保育園でよく目にするのは仏教やキリスト教ですが、他にも神道や天理教の保育園もあります。

 

日本で初めて保育園が設立されたのは1890年。「新潟静修学校敷設託児所」と、鳥取県の農村で季節託児所として設立された「農繁期託児所」です。この2つは、共働きをせざるを得ない貧しい家庭へ経済的貧困に対する救済として設立されたのに対し、その14年前に設立された「東京女子師範学校附属幼稚園」は先駆的な幼児教育を取り入れ、中流家庭以上の3歳以上の幼児を対象とした施設であり幼稚園の始まりとされています。

そして、幼稚園設立に寄与したのはアメリカのキリスト教宣教師によって作られた「亜米利加婦人教授所」です。お寺や神社においても、明治時代から第二次世界大戦終戦までで農繁期や武器工場等で勤労する女性の子を預かる「戦時託児所」としての役割を担ってきました。

 

地域住民との交流や宗教思想を広め教育する流れから、「保育園」として創設するよりも前に保育園の前身となる歴史をもっている保育園が多いことは、宗教法人の特徴とも言えるでしょう。

 

ここで、宗教法人の保育園に多い仏教保育園とキリスト教保育園について、どのような保育が行われているのか見ていきましょう。

 

 

宗教法人の保育園で最も多いのは仏教

 

◆仏教保育園の教えとは

ひとくちに「仏教保育園」と言っても、浄土真宗か日蓮宗か、のように宗派によって考えや教えは異なります。

仏教の保育園はお寺の敷地内や併設しているところに設置されている保育園が多く、お寺のご本堂を参拝する機会が多々設けられていることが特徴です。また、境内を出入する時に合掌して挨拶したり毎日朝夕に教えを唱えたりし、仏教について直接的に学ぶというよりは生活の中に取り入れることで「感謝の気持ち」や「命の尊さ」などを学んでいきます。

園長が住職というところも多く、園長が唱える念仏を合掌して傾聴することもあれば、園児自身が阿弥陀様の言葉を学んだり念仏を唱えたりもしますよ。

 

◆仏教保育園ならではの主な行事

仏教の聖日として大切にされている「三仏忌」に行事が催されます。

〇4月8日、花まつり(降誕会)

お釈迦様が生まれた日を祝う行事です。保育園では誕生仏を花で飾り、甘茶をかけてお祝いします。花は園児が各自持ち寄り、礼拝時にお供えするところも。

〇12月8日、成道会

お釈迦様が悟りを開いた日です。本堂に上がって礼拝し、3歳以上のクラスでは仏教の教えを深める場が設けられます。また、発表会を執り行う保育園も多いです。

〇2月15日、涅槃会

お釈迦様が亡くなった日に、報恩感謝の気持ちを表す記念の法要が行われます。ここでも本堂へ参拝する保育園が多いようです。

〇3月と9月、お彼岸

〇8月13日~15日、お盆

お焼香をし、ご先祖様に感謝を伝えます。お盆中は法要のためにお寺の出入りが増え、仕事が休みの家庭では家庭保育の協力を呼びかける保育園もあります。

 

 

キリスト教は幼稚園で多いが保育園で運営している法人もある

◆キリスト教の保育園の教えとは

教えの根拠となるのは聖書です。園長が牧師のところも多く、園長の話しや聖書の言葉と物語を通してキリスト教の学びを深めます。さらに定期的に教会で礼拝し、食事や保育活動の前後にはお祈りをし、聖書の一部を暗記し復唱したりします。仏教保育園と内容はちがえど、生活を通してキリストの教えを学ぶという取り入れ方はほとんど同じです。

社会的弱者を救うという教えから、「献金」があるのも特徴の一つ。献金とは、いわゆる寄付のこと。強制されることはありませんが、定期的に園児を通して献金を募り、災害被災地や支援を必要としている施設へ寄付されます。

 

 

◆キリスト教保育園ならではの行事

〇4月、イースター(復活祭)

イエス・キリストの復活をお祝いする日です。牧師である園長先生からキリストの話を聞いたり教会で礼拝したりします。

〇11月、収穫感謝祭

豊かな収穫ができることを感謝する日です。保育園によってやり方は様々で、各家庭から持ち寄った果物をまとめて感謝礼拝したり、子どもたちが調理したものを食べたり、近所の農家を招待して感謝の気持ちを伝えたりします。また、この日に合わせてバザーを催すところもあります。

〇12月、クリスマス会

イエス・キリストの生誕を祝い、発表会の中でイエス様の誕生にまつわる劇をするところが多いようです。教会へ礼拝しお祈りを捧げ、園長先生からケーキやプレゼントが贈られたり、クリスマス会のときだけおしゃれな服装を着用したりして、いつもより少し贅沢な時間を共有します。

 

 

保育観や幼児教育の方針が保育士間で共有されやすい

そもそも保育園では、卒園後の先まで長い目で見通しながら日々保育し、自分の気持ちを適切に表現できる表現力や他者とかかわる社会性、「この行動を起こすことでどうなるか、相手はどう思うか」といったような創造力など、人間面の基盤を学んでいく場でもありますが、宗教法人の保育園の場合、宗教の教えを通して学びを深めるので、「どのような人であるべきか」といった「あるべき姿」が保育士により一層共有されやすい傾向にあります。

もちろん、一般的な保育園であっても保育士間または保育士と運営者間で明確に共有されているところもありますが、保育園によっては全く異なる保育観のもと、それまでの経験や知識に左右されず、保育士全員が同じ方向性で保育をすることは難しいことです。保育士でベクトルの方向が違えば新人保育士やパート保育士を混乱させ、最終的には子どもたちにも影響するでしょう。

その点では、宗教法人の保育園の方が「日々どのように保育することであるべき姿を目指すか」、明確なビジョンを共有しやすいのです。

 

 

地域交流を盛んで、その地域に根ざしている

もう一つ、一般的な保育園とちがう傾向にあるのが、地域に開かれ住民との交流が盛んに行われているということです。お寺や神社、教会は地域住民が集う場でもあります。集うのに正当な理由があるので、地域住民が敷地に出入りすることへの保護者への理解が得られやすく、地域に根ざした保育施設を実現している保育園が多いのは宗教法人の保育園ならではないでしょうか。

 

 

宗教がちがっても無宗教でも働ける

「宗教がちがうから」と不採用にされたり、宗教へ入ることを強制されたりすることはありません。保育園児も同様で、キリスト教の保育園に通っているが家庭は仏教という園児も多いです。自身の宗教に関わらず、宗教の教えや保育観に共感できるのなら選択肢に入れるといいでしょう。「日本キリスト教保育所同盟」と「日本仏教保育協会」がそうですが、HPに加盟保育園が記載されている団体もあります。どのような保育を行うのか気になる方は、団体のHPの情報も参考にし、ぜひ就職・転職活動に役立ててください。