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CME保育士コラム

加配保育士とは

入園児に障害のある子どもが増えつつあることはご存知でしょうか。

 

近年、「多様性」「ダイバーシティ」という言葉を耳にすることが増えてきました。個人を一つの枠で捉えるのではなく、個性として認め合い、「ありのままの姿を尊重しよう」という考え方です。

特に福祉の現場では、「障害のある人が障害のない人と同等に生活し、ともにいきいきと活動できる社会を目指す」というノーマライゼーションの理念が浸透しています。1950年に北欧から始まった社会理念の一つですが、日本は2013年にこの理念が提唱されている「障害者の権利に関する条約」を批准しており、今日では障害者福祉の基盤的考えとなっています。

 

そうした背景の中、小学校においても、障害児を対象とする特別支援学級、通級指導教室に在籍する子どもの数が年々増加しています。福祉の現場である保育園も同様で、平成15年度には保育所における障害 児保育について一般財源化されました。これにより、地方自治体ごとに障害児保育の要件や障害児の認定方法など様々な運用がなされています。

そしてさらに、障害をもつ園児を専門的に保育する「加配保育士」を配置する保育園が急速に増えつつあるのです。

 

そこで今回、本記事ではこの「加配保育士」について取り上げ、業務内容や今後期待される役割に着目して解説いたします。加配保育士を知ると、就職・転職時の選択肢を幅がひろがりますよ。

 

 

障害児保育を導入する保育園は増えてきている

保育園には、在籍する子ども家庭や地域の子ども家庭のために特別保育を行っているところがほとんどです。その代表的なものが、延長保育です。他にも、入園していない地域の子どもを一時的に預かる「一時保育」や下校後の小学生を預かる「学童保育」、そして障害児を受け入れ保育する「障害児保育」があります。

全ての保育園で導入されているわけではありませんが、ニーズが高まるにつれて導入する保育園が増えつつあるようです。

 

さまざまな状況の障害児を受け入れることとは

知的障害、身体障害、精神障害―。

「障害」とは言っても、種類や重度はさまざまです。重度障害の子どもの中には、鼻から消化管にチューブを通して栄養を直接送る「経管栄養」が必要な子どもなど、常時医療的ケアを必要とするような子どももいます。

また、発達障害は精神障害の中に位置づけられていますが、自閉症などの発達障害のある子どもが知的障害を併せもつ場合があるように、1人の子どもが複数の障害をもっているケースも少なくありません。

 

さらに、保育園で多いのは、いわゆる「気になる子」。発達の個人差が著しい未就学児は、障害をもっているのか、単に発達が遅れているのか、たくさんの子どもを見てきたベテラン保育士でも見極めるのが困難な場合もあります。

 

障害の種類、進度、重度、とりまく保護者や支援機関といった環境など、さまざまな面で違う障害のある子どもが保育園でも安全に過ごせること。それが、加配保育士が配置される最大の目的です。

また、障害のある子どもに担任保育士の目や手をとられることで、他の園児の保育がおろそかになってしまったり事故や怪我から守れなかったりすることを防ぐことも目的の一つ。4,5歳児クラスでは、子ども一人につき保育士1人以上というのが最低配置基準ですが、園児の負担感のみならず担任保育士の負担も軽減できることが加配保育士に期待されています。

 

 

加配保育士は障害児保育のスペシャリスト

障害児一人につき加配保育士1人以上配置されるといったように、明確な決まりがあるものではありません。各自治体に委ねられている部分も大きく、平成29年度にみずほ情報総研株式会社が調査した『障害児保育に関する研究報告書』によると、都道府県が作成した障害児保育に関する冊子やパンフレット等が作成されているところもあれば(2割弱)、作成されているかどうか把握していないと答えたところも(5割)ありました。

 

配置基準が明確に定められていないため、保育園や自治体毎に異なる加配保育士の配置状況と障害のある子どもの受け入れ人数によっても、業務内容は異なるでしょう。

共通している点は、障害のある子どもを専門とした障害児保育ができることです。

 

例えば、自閉症の子どもの場合、視覚からも情報を読み取れるようにした方がすんなりと受け入れやすいことと、次の行動が予測できないことに不安感から強いストレスを感じてしまうこと、2つの特徴があります。

避難訓練は、そんな自閉症の子どもにとっては非常に困惑しやすい時間です。予期せずサイレンが鳴り、保育士の誘導があるとは言え、その時々で違う避難経路から素早く避難する必要がありますが、「予期しない」「先が見通せない」状況が不安感を煽るからです。そんな時に日頃のコミュニケーションで信頼関係が構築された加配保育士が隣に付き添い、「先生がいるから大丈夫だよ」「今日は訓練だから、避難した後は遊びの続きができるよ」などのように不安感を軽減したり先が見通せたりするような声掛けを心がけます。

 

また日頃の保育生活では、次の行動を自然と促せるように、視覚的に状況を把握できる環境を整えることも加配保育士の務めです。

ホワイトボードに生活イラストが描かれたマグネット等貼って活用することで、「朝の準備は、あと連絡帳を出してタオルを掛けたら終わりだな」とか「トイレに行った後は、今日はブロック遊びとカードゲームができる日だ」と理解しやすくなります。

 

 

障害のある子どもへ直接的支援を行うだけではありません

保護者との相談支援はもちろんですが、保育園側の窓口となって障害児がつながっている関係機関との連携を図ることも業務です。

保育所等訪問支援の対象児童であれば訪問支援員と情報を共有しますが、そうではない子どもには児童発達支援センターや発達検査の実施が可能な児童相談所等の専門支援機関を紹介し、より良い環境の提供に努めることもします。

保育所等訪問支援とは、児童の発達支援に関する専門スタッフが保育所等を訪問し、集団生活に適応するための専門的な支援や支援方法等の指導等を行うものです。看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚療法士臨床心理士による専門スタッフが訪問し、多職種連携のもと、より良い福祉サービスの提供に努めることが目的とされています。

 

この保育所等訪問支援は、常時医療的ケアを必要とする子どもを受け入れる時に特に活用されているようです。

常時医療的ケアを必要とする子どもは、受け入れ前からの入念な準備が重要。対象児童が通所している療育センターへ出向いて日頃の様子を見学するとともに、関わり方の注意点や必要な医療器具等について情報を共有します。そして入園後は、看護師らによる訪問支援で指導等を受けながら、安全な集団生活を送られるよう保育の在り方を適宜見直していきます。多職種と連携をとりながら保育ができるのは、加配保育士ならではの業務です。

 

 

児童福祉と障害者福祉に携われる

「福祉」は、大きく高齢者福祉・児童福祉・障害者福祉の3種類に捉えることができます。

保育園は児童福祉法に基づく児童福祉施設ですが、加配保育士は障害者福祉にも携わることができるのです。知識の幅を広げ、経験を通して理解を深めていけます。

 

加配保育士について知る時に、「大変「きつい」といったマイナスな意見につい目を留めてしまいがちですが、「多様性の尊重」や「ノーマライゼーションの理念」が浸透してきている現在、その経験は必ず保育士人生の中で活かされることでしょう。