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CME保育士コラム

例のウイルスで認可外が閉園!?その背景とは??

令和2年4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が発令された日、政府は国民に行動制限を求め、全国の企業や学校等がそれに準ずるための対応を迫られる中、保育園でも「子どもの受け入れはどうなるか」「感染やクラスター発生のリスクを軽減させるには、どのような予防策が有効なのか」など、さまざまな検討が具体的に進められるようになりました。

 

多くの保育園では登園を控えられる家庭には「登園自粛」を呼びかけ、一時的に「休園」を選択する保育園もありました。

運営費用が主に公費で賄われている認可保育園は、自治体の許可なく勝手に休園することができないため、自治体の最終判断を仰ぎながら対応していた一方で、運営費が主に保育料で賄われている認可外保育園では、「所在地の自治体判断に準じて休園する認可保育園と同様に休園をするべきか」「仕事に行かなければならない保護者直々の要望を受けて開園し続けるのか」各々で判断することとなりました。

 

そんな環境下で、とりわけ認可外保育園では、突然の閉園を知らされるケースが目立つようになってきています。未知のウイルス、新型コロナウイルスによって閉園に至ってしまう認可外保育園の背景にはどのような事情があるのか、まだまだコロナ禍の影響が続く現在、就労先を選択する時に参考にしてほしいポイントとは――。

 

全国に約12,000ある認可外保育園

厚生労働省が毎年取りまとめて発表している認可外保育施設の現況報告があります。それによると、最新のデータである2018年度は、認可外保育園は全国に12,017ヶ所でした。そのうち、同年度に新設された保育園は3,473ヶ所。前年度と比較すると125%の増加率であり、増加率の高さも顕著であることが明らかになっています。

 

一方で、2018年度に「休止・廃止」した認可外保育園は894ヶ所でした。2017年度の662ヶ所と比較すると135%増と高く、認可外保育園の全体数は増加傾向にあるけれど、実際は、新設されるところもあれば休止・廃止に追い込まれるところも多く、入れ替わりが激しい様子がうかがえます。

 

 

経営難を理由に閉園を選択する認可外保育園

今から約2カ月前の2020年11月下旬、JPホールディングス(本社・名古屋市)グループが、沖縄県那覇市で運営する認可外の企業主導型保育所を12月末で閉園することが公になりました。

JPホールディングスは、傘下に日本保育サービス株式会社をかかえ、「アスク保育園」など全国に約200もの保育園を運営している保育事業の大手企業です。那覇市の他にも、東京都新宿区2園、大田区1園、豊島区1園の計4園の認可外保育園が、今年度末で閉園されます。

 

今回、閉園が決まった園の一つ、大田区の「アスク保育園」では、9月11日に年度末の閉園を知らせる手紙が、保護者に手渡されたそうです。

その手紙の内容によると、閉園理由について、❝ここ数年認可保育園が増加するとともに、待機児童の解消が進み、育児休暇制度の拡充で0歳児の入園需要が減少するなど、社会構造が大きく変容する中で、認証保育園(東京都が独自に認証する保育施設のこと、認可外保育園)の役割が問われており、建物の老朽化、新型コロナウイルス感染拡大防止のため密を回避するべく十分なスペース確保の問題、社会環境・人口動態の変化に伴う継続的な赤字構造、認可保育園への意向を踏まえた不動産の調査など、様々な観点から慎重に調査・検討を重ねた結果❞と記されていました。

 

元々経営上の課題点をかかえていた中で、新型コロナウイルスが追い打ちとなり閉園に追い込まれたケースは後を絶ちません。

 

 

緊急事態宣言時の認可外保育園の対応

緊急事態宣言が発令されるにあたり、厚生労働省から各保育施設に次のような文書が発令されました。

 

①保育所は、保護者が働いており、家に一人でいることができない年齢の子どもが利用するものであることから、感染の予防に留意したうえで、「原則として開所すること」

②保育所等の子どもや職員において、新型コロナウイルス感染症が発生した場合の対応について、市区町村の指示のもと「臨時休園を検討すること」

③臨時休園の際は、訪問型一時預かり保育や保育士による訪問保育、ベビーシッターの活用など、「代替え措置を講じること」

 

さらには、認可外保育施設においても、同様の対応が行われるよう、都道府県、政令指定都市および中核市にて、必要に応じた情報提供や助言等を実施するように注意書きされていました。

 

同じ「保育園と」して、認可外保育園にも同様の対応を求める中、重要となるのは収入減の違いです。

 

 

新型コロナウイルスにより運営費である保育料収入が不安定に

認可保育所等の場合、家庭保育の依頼を受けて保護者が登園を自粛すると、多くの自治体は保育料が日割りで返金されます。それによる施設側の減収分は、国と自治体で穴埋めするため、預かる子どもや働く保育士の安全確保を最優先で考えることが可能でした。また、登園者が減少したり臨時休園を行ったりしても、自治体から認可保育園に毎月交付される給付費は減額されないとされています。

 

一方、認可外保育施設は違います。主な運営費用は、毎月の保育料によるところが大きいので、保護者に登園自粛を求めて保育料を返金することにしたら収入減、保育料を請求したら保護者が過剰な負担を負うことになるのです。

 

具体的には、次のようなケースです。

・子どもや保育士の安全確保を考え、保護者に登園自粛を求めると、保護者に請求する保育料を減額せざるを得なくなり運営が立ちいかなくなるケース

・登園自粛に応じても保育料は継続して満額請求されるので、保育料を支払うために再び子どもを預けて働かざるを得なくなるケース

・新型コロナウイルスにより保護者の収入が減り、保育料を支払うことが困難となり退園せざるを得なくなり、保育事業者側も収入源が減ってしまうケース

 

登園自粛を呼びかけるかどうか、保育料の支払いを求めるかどうか、苦悶しながらも、日々の保育の中で感染者が出てクラスター認定を受けてしまうと、それこそ認可外保育園にとっては死活問題となるため、多くの認可外保育園ではジレンマを抱えることになったと言います。

 

 

一部の自治体は認可外保育園にも運営費用の補償を実施

自治体の中には、保育施設の種別によって保育料の取り扱いに差がつかないように、また全ての保護者が安心して登園自粛に応じてもらえるように、独自に支援を行うところも出てきました。

 

例えば、東京都練馬区や福岡市では、区内全ての認可外保育園の利用者を対象に、登園自粛に応じた日数分の保育料を後日区から返金する仕組みが導入されました。

また、大分市などでは、保護者に対して保育料の減免対応を行っており国の持続化給付金等を受給していない認可外保育施設へ、補助金を給付する制度を設けられています。

 

とは言え、補償の範囲は限定的というところも多く、先行き不透明な状況から最終的に「閉園」することとなってしまった認可外保育園は少なくありません。

 

 

認可外保育施設の運営事業主の大半が民間会社である

不安定な収入源の他に、多くの認可外保育施設が抱えるのは「利益」を得なければ事業として成り立たないという現状です。社会福祉法人などは営利目的で設立されませんが、民間会社は利益がなければ事業として成り立ちません。

 

JPホールディングスの例で見ると、6月に開かれた株主総会で「既存施設への受け入れ児童数と人員配置を適正化することで、収益性の向上と運営効率の改善を図る」と話し、その直後に5園の閉園が決定しています。民間会社である以上、事業を安定して継続していくために、経営戦略のもと適宜現状を見直す過程で閉園を選択することは仕方ないことだとも言えるでしょう。

 

 

見えない情報まで抑えて総合的な判断を

私たち保育士は、認可外保育園が抱える事情を知ったうえで就労先を選択することが大切です。単に、給与や交通アクセスといった求人情報に記載されている情報だけで選択することは避けましょう。

 

認可外保育園の強みは、別の記事でも紹介しているように、保育サービスで差別化を図りやすいところです。ここでなければならない、ここでしかできない保育サービスを提供している認可外保育園は多く、一概に良し悪しを決められるものではありません。さまざまな情報を総合的に判断することで、より自身に合う就労先を見つけることができるはずです。