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CME保育士コラム

転職の際に園見学で確認しておきたいポイントとは!?

厚生労働省の調査データ「保育士等における現状」によると、保育士の離職率は約10.3%です。特に20代の保育士の離職率の高さは、他業界と比較しても高い傾向にあります。離職率の高さは潜在保育士の多さをも示しており、待機児童問題の背景に慢性的な保育士不足問題があることはよく知られていることです。

 

国は、深刻な保育士の離職率を低下させるための代表的な取り組みとして、キャリアアップを目的とした“保育士処遇改善等加算Ⅱ”を設立(2017年)したり、10%に引き上げられた消費税を財源として処遇改善手当の額を1%増額したり、賃金の底上げに注力してきました。

また、各都道府県に設置されている「保育士・保育所総合支援センター」や各市町村は、人材確保と定着のために、保育園の見学ツアーの機会を設けるようになりました(現在は、新型コロナウイルスの影響で実施されていないところが多いようですが)。

このような見学ツアーを活用し、求人票だけでは知ることができない実際の保育園の雰囲気を肌で感じ、転職に役立てたという方も少なくないでしょう。「思っていたのと違う」と転職を後悔することがないよう、本記事で転職の際に保育園見学で確認しておきたいポイントを一緒にみていきましょう。

 

 

 

求人票では得られない情報をとりに行く

保育園見学の一番の目的は、求人票では得られない情報を知ること。設備環境が整っているかというハード面と、そこで働く保育士はどんな人たちかというソフト面の2面から成る保育園全体の雰囲気を肌で感じ取ることが大切です。

そこで感じ取った直感的な感情が、転職後に「思っていたのと違う」という理由ですぐに退職してしまうようなことを防ぐことになります。筆者が保育園見学に行った時の事例も参考に、以下のポイントを抑えるといいでしょう。

 

・子どもが笑っているか

・保育士が笑顔か

子どもや保育士が笑顔で過ごしているか、これは、その保育園の雰囲気を知るのに1番分かりやすいポイントではないでしょうか。自分が働く時にも笑顔で働くことができそうか、実際に働いている保育士の姿を見てイメージできるような保育園ならいいでしょう。

子どもの表情も大切な情報の一つです。保育園が心身ともに安心して生活できる場なら笑顔の子どもが多いので、保育士の表情と併せて子どもの表情も確認しましょう。

 

・職員のやり取りから日頃の様子を垣間見る

保育園には、転職で園見学に来る人以外にも、子どもの入園申請のために見学に来る人や保育実習のオリエンテーションで見学に来る人、外部評価で来園し見学する人など、いろんな人が施設見学のために来園します。

そんな中で自分が見学に行ったときに、そこで働く保育士の反応を見て、保育中に外部の人が来る機会は少なくない保育園において、日頃からどのような対応をしているかを推察することができるでしょう。

 

 

例えば、筆者が見学したある保育園では、園長が対応してくださり一緒に各部屋を見て回るとき、大半の保育士は園長の姿を見て挨拶をし、筆者に対しては筆者からの挨拶に返す程度でした。年長児のクラスに至っては「ご挨拶しましょう」と子どもたちへの話を中断し、「園長先生おはようございます」とクラス全員で挨拶し、足腰が悪い園長に代わって2階の部屋を案内してくださった主任保育士に対しても保育士の反応が同様であるのを見て、「ここは止めよう」と思ったものです。

 

次に見学した保育園では、面白いほど真逆でした。主任保育士と各部屋を見て回りましたが、すれ違う保育士の大半が向こうから挨拶をしてくださり、主任保育士は「今日は○○ちゃん、もうお着替えも済ませたの。早いね~」などと子どもたちに声をかけながら見て回り、日頃から各クラスの子供たちの様子を担任保育士と情報共有しながら保育をしているのだろうと想像ができるものでした。

 

私が見学に行ったのは、いずれも子どもの入園申請のためなので、見学を受け入れた保育園からすると保護者として対応していたものだと思いますが、職員間のやり取りからは、日頃の様子が垣間見えます。自分自身への対応が良いか悪いかより、職員間でやり取りしている時の表情や声のトーンなどから日頃の保育園の様子を感じとるようにするといいでしょう。

 

 

見学時に聞いておくといい5つのポイント

・ピアノを使っているか

・トイレトレーニングの方法

保育観は、保育園により差が大きいもの。0歳児から布おむつで過ごすところもあれば、子どものペースでゆっくりトイレトレーニングを導入しているところもあります。ピアノの使用頻度も保育観の一つ。生の演奏に触れる機会を優先しているか、保育士の負担軽減を優先しているかによって、ピアノの活用頻度は大きく異なります。聞くだけでその保育園の保育観を汲み取れるものとして、ピアノとトイレトレーニングをあげましたが、「保育において一番大切にしているものは何ですか?」と率直な質問をしてみるのもいいでしょう。

 

・コロナ対策は保育士に周知されているか

新型コロナウイルスが感染拡大してから約1年経過しますが、コロナ対策のガイドラインを策定し保育士に周知しているところと、場当たり的な対策を口頭で引き継ぐに留めているところがあるようです。「コロナウイルスの対策は、どのようにされているでしょうか?」と聞くことで、何かあった時の管理体制がしっかりしているか、安全・危機管理がされているかを伺い知ることができます。目でも確認できるコロナ対策はありますが、質問して具体的な対策まで確認するといいでしょう。

 

コロナ禍の保育園見学

新型コロナウイルスが感染拡大し、2020年4月に緊急事態宣言が出されてから現在も、保育園見学はかなり制約されているのが実情です。子どもの入園申請のための見学も厳しく制限され、緊急事態宣言が発令されている地域では、在園児の保護者でさえも入れなくなっている保育園もあります。

転職のための保育園見学は、ことさら見学が制限されているところが多いですが、コロナ禍でも保育園の実態を垣間見ることができる方法があります。

 

・保育園と連絡をとる

まずはとにかく保育園に電話をし、見学が可能か聞いてみましょう。見学できない場合は何か他の方法があるか、率直に聞いてみましょう。説明会や資料提供をしている保育園もあるかもしれませんし、電話先で不明な点に応えてくれるかもしれません。

電話先の応対ひとつでも、「急な電話でも丁寧に対応してくれた」や「『見学できません』の一言で終わった」という情報の一つとなります。たまたま電話に出た人の応対だけで保育園を印象づけることは避けるべきですが、❝こんな人が働いているのだな❞と保育園の姿を感じとることができるでしょう。

 

電話を掛けるのにおすすめの時間帯は、子どもたちが昼寝中で保育士の業務も比較的落ち着く14時から16時の時間帯。一方、9時前や16時半以降の時間帯は、送迎で特に慌ただしくなり保護者からの電話連絡も多いので、保育士として問い合わせるのに最も避けた方がいい時間帯です。

そして、転職活動にあたって、複数園に電話で問い合わせをする時は、極力同じ時間帯に電話をするようにしましょう。保育園は、子どもの生活リズムに合わせているので、基本的にどこの保育園も同じようなタイムスケジュールを組んでいます。同じ時間帯に問い合わせることによって、比較の対象として情報収集しやすくなるでしょう。

 

・とにかく現地に行ってみる

中に入れなくても、外から園舎や園庭の様子を見るだけでも分かることはあるはずです。自宅から直接向かえば、通勤アクセスが良いかどうかを知ることもできますね。園庭遊びの様子などが見られたら、保育士が子どもにどう関わっているかを見ることもできます。

 

・第三者評価の結果を参考にする

第三者評価の結果が公表されていれば、それも情報の一つとして参考にできるかもしれません。第三者評価は評価機関によってズレがあり、保育施設同士の比較には向いていませんが、保育園の概要を把握することができます。

 

 

転職して定着して働くことができるよう、保育園見学に行っておくことを強くおすすめします。コロナ禍で見学が叶わない保育園も多いですが、電話での応対からでも少しは保育園の雰囲気を感じ取ることができるので、連絡を取ってみるようにしましょう。また、保育士専門のエージェントを活用することで、複数の保育園を比較した客観的な意見を聞くことできますよ。

見学を快諾してくれた時は、事前に保育園の情報を得たうえで、何が知りたいかを整理しつつ、ここでのポイントを参考に意図をもって見学に行くことが大切でしょう。保育園を訪れる者として見学前からコロナ対策は十分に行い、意義のある時間にしたいですね。