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CME保育士コラム

遠足で気を付けること・盛り上がるレクリエーション

保育施設や認可外保育施設等における子どもの死亡事故などの重大事故は、残念ながら毎年発生しています。日々の保育においては、乳幼児の主体的な活動を尊重し、支援する必要があり、子どもが成長していく過程で怪我が一切発生しないことは現実的には考えにくいものです。そうした中で、施設・事業所における事故、特に、死亡や重篤な事故とならないよう予防と事故後の適切な対応を行うことが重要です。

 

今回、本記事では、考えられる様々な事故場面の中でも「遠足」のときに起こり得る事故に焦点をあて、どんなことに気を付けて臨むべきか解説していきます。併せて、遠足でよく使われているレクリエーションも紹介していきます。

本格的な冬が終わり、外遊びが気持ちの良い季節になっていくこの時期に、ぜひ本記事を遠足のみならず園外活動の参考にしてみてください。

 

保育園における遠足とは

保育園において、遠足を含む園外活動を行うことは、子どもが身近な自然や地域社会の人々の生活に触れ、豊かな体験を得る機会を設ける上でとても重要だとされています。

しかし、子どもの発達によって、身体の大きさ・運動能力・視野等の周囲の状況の認知の特性、交通ルールの理解等は異なるもの。また、遠足をどのように年間行事に取り入れるか、回数も内容も保育園によって全く異なります。親子遠足にするか子どもだけを引率するか、3歳児クラス以上から遠足行事を実施するか、年長児のみで実施するか、遠足の計画は園によってさまざまです。

 

そのため、園外活動の計画時や実際の活動時を通じて、乳幼児の特性・保育園や目的地周辺の道路交通状況、クラス人数、保育士の人数などを踏まえて実施計画を立てなければなりません。その上で、万が一事故が起きた時にどのように対処するのか、あらかじめ周辺の病院やAEDの設置場所を把握し、保育士の役割分担や保護者や関係機関への連絡経路まで決めておく必要があります。

 

では、具体的に、どんな点に気をつけるといいのでしょうか。

 

遠足で気を付けるべきポイント

〇下見は複数人で入念に

目的地における危険箇所の確認、目的までの交通量や道路設備、工事箇所等、事故の危険がある場所の確認を行います。また、危険な動植物と接触する可能性がある場所、不審者との遭遇に注意すべき場所についても確認を行いましょう。また、経路に変更がないとしても、工事等により危険箇所が新たに発生する場合もあることに留意し、行き慣れている場所であっても、下見をしておくことが大切です。確認した箇所については、記録を付け、他の職員へ情報共有します。

 

〇他の職員と情報を共有する

下見をした後は、危険箇所の確認を通じて得られた情報や近くのトイレ、周辺の病院やAEDの設置場所を全職員で共有し、認識の共有を図っておかなければなりません。認識の共有に当たっては、危険箇所の一覧表や目的地までのロードマップの作成、現地の活用等の工夫を行うことが望ましいとされています。

 

〇実施計画書の作成

散歩の目的地、ねらい、行程(時刻、経路、所要時間)、子どもの人数、引率者等について計画を作成します。他の職員と共有した危険箇所を元に、安全な目的地や経路を設定します。子どもの年齢・人数に応じた職員の配置、位置関係、引率を適切に行うために必要な職員間の役割分担を決め、全員で動きを共有できるよう計画を立てるようにしましょう。雨天時の場合や、目的地で天候が急変した時のスケジュールについても記載しておきましょう。

 

〇引率する全職員で役割分担を再確認する

事前に作成した実施計画書に、当日の状況(天気、子どもの人数、引率者)を反映します。職員間で安全対策や子どもに関する事項について、情報共有を行い、役割分担を再確認することも重要です。当日の朝、子どもたちより早く職員で集合する時間を設け、実施計画書に沿って職員間で再度動きを確認し、その際に、どの職員が必要な携行品(救急用品、携帯電話、緊急連絡先リスト、子どもの名簿、ホイッスルなど)を所持するべきかについて確認を行いましょう。必要に応じて、複数職員で携行するのもいいでしょう。

 

 

〇子どもの状況等の確認

子どもの健康状態を確認の上、遠足参加の可否を判断し、実際に遠足に参加する子どもの人数を確認します。乗り物酔いしやすい子など、個別に配慮が必要な子どもの有無についても同様に確認し、都度、他の職員と情報を共有します。

また、子どもの服装について、安全性や体調、天気や気温等への配慮といった観点から確認し、衣服の調節を行います。フード等が遊具等に絡まったりひっかかったりする恐れがないか、暑すぎたり寒すぎたりしないか、出発前に限らず、適宜声掛けをするようにしましょう。

 

〇保育園に残る職員への情報共有

実施計画書に実際の出発時刻等を記入し、園長等の責任者や園に残る他の職員ともどのように遠足を実施するか文書で共有することも必要です。何か事故が起こった時、人員が必要となる事態が起こった時など、事前に共有しておくことで迅速に対応してもらいやすくなります。

 

○道路を歩く際の体制

車道の歩行は避け、歩道の白線の内側、ガードレールの内側を歩くことは前提です。職員は、子どもより車道側に位置し、子どもの列の前後(加えて人数に応じて列の中)を歩きます。また、交差点や歩道の切れ目、曲がり角、一時停止場所等では、一時停止し、安全確認を十分に行います。道路の横断時には、特に安全確保に注意を払い、職員の位置取りや子どもの列の組み方、横断に必要な時間等に注意を払わなければなりません。

 

○自由保育の時間

既に職員間で共有している情報をもとに、現地の状況確認・構造物や植え込み等による死角の有無を確認し、遊具等に危険が無いか安全点検を行います。ガラス片や犬・猫の糞、たばこの吸い殻等の危険物や不衛生なものが無いか、不審者は見られないか、といった当日にしか分からない状況で異変を確認したら引率責任者に報告し、遊べる範囲を変更するかその場で検討します。急な変更が生じた時は引率している全職員に共有する他、タイムスケジュール等大幅に変更する場合は園にも連絡を入れます。園に残っている職員が保護者との連絡を取ることになるので、園への報告もまめに行うようにしましょう。

 

遠足は、事前の準備段階と職員間の情報共有が安全管理の要です。当日、職員の役割分担が機能するように実施計画を立て、他の職員へしっかり共有しなければ計画の意味もありません。実施計画書の作成を含めた事前準備と職員間の情報共有、この二つの柱を基本とし、当日全ての子どもたちが楽しんで遠足を終えられるよう安全に留意しましょう。

 

 

遠足でおすすめのレクリエーション

  • バスごっこ

「おおがたバスにのってます~ きっぷをじゅんにまわしてね♪」で始まるこの歌は、バスで遠足に行く時の定番曲として、よく歌われています。

切符を隣の人や後ろの人にまわす歌詞に合わせて、座ったままでも周囲の子どもと関わることができるので、子どもたちからも人気が高い曲です。

 

  • バスにのって

バスの揺れに合わせて体を動かすこの歌は、「バスごっこ」と同様に座ったままでも楽しむことができる遠足の定番曲です。膝の上に乳児のきょうだいを抱えた保護者がいても参加できる曲なので、特に親子遠足でよく歌われています。

 

  • 〇×(マルバツ)クイズ

前に立つ保育士が出すお題に、〇か×が書かれた画用紙を上に掲げて応えるというもので、これもバスで遠足に行くときにおすすめのレクリエーションです。隣に座る子どもや保護者と話し合って2人で一枚の答えを出すようにすると、他児とコミュニケーションをとってもらうきっかけにもなります。

クイズに出す質問は、「保育士が言っていることは〇か×か」でもいいですし、「カレーライスの方が好きな人は〇を、シチューの方が好きな人は×を」といったような知識関係なく楽しめる質問にするといいでしょう。仮に、クラスの中に生活保護受給世帯や困窮世帯がいる場合は、「ディズニーランドに行ったことがある人?」のような娯楽嗜好をうかがう質問は避けるよう配慮しましょう。

 

以上が、遠足で特におすすめのレクリエーションでした。

目的地に着いたら、決められた範囲の中でのびのびと遊ぶことが多いので、レクリエーションの導入は移動時間に行うことが多いと思いますが、特に行きの道中では「まだー?」と退屈しやすいので、レクリエーションのバリエーションをもっておきましょう。

 

事故はいつでも起こり得る認識が大切

遠足は、通常保育に比べて、予期しない事故が起こりやすい環境です。保育士は見慣れない環境の中で保育を行い、子どもたちは通常とは異なる場所や遠足ならではの雰囲気で目の前の物事に集中して遊びます。

どんなに万全に下見をして実施計画を立て、安全に留意して保育を行っていても子どもの事故は起こり得るとの認識を持ち、万一の事故に備えて救急法などの事故対応を身につけておくよう心がけましょう。