プールや水遊びでの注意点とは
梅雨があけたらいよいよ夏本番。
プール遊びや水遊びの季節がやってきます。
子ども達はプール遊び・水遊びが大好きですが、悲しいことに、プール遊びや水遊び中の事故は数多く報告されています。
そこで今回は、基本的なプール遊び・水遊びの注意点について説明しながら、実際に起きた事故の事例や、おすすめの遊び、その遊びの中での注意点についても紹介していきます。
保育士は子どもの命を預かる仕事のため、しっかりとプール遊び・水遊びの注意点を頭に入れておき、子ども達が楽しく安全に遊べるようにしていきましょう。
プール遊び・水遊びの注意点
プール遊びや水遊びをする際の注意点には、遊ぶ前に子どもと約束事を確認し、子ども自身も注意することと、保育士が注意することの2つがあります。
子どもとの約束事
子どもと交わしておくべき約束事には
- プールの周りやプールの中では走らない
- プールに入る前に準備体操をきちんとする
- プールには飛び込まず、ゆっくりと中に入る
- プールの周りやプールの中で他児を押したり引っ張ったりしない
- 保育士の話をしっかりと聞く
などが挙げられます。
どれも事故や怪我を防ぐためには大切な事ですが、上記のことがなぜいけないのか理解が出来ない子も多いため、しっかり「水の中やプールの周りは滑りやすくて、転んだら怪我をするから走ってはいけない」など、理由を説明することが大切です。
保育士が注意すること
プール遊び・水遊びを安全に行うには、保育士がしっかりと遊び始める前に準備・点検を行ったり、遊んでいる最中の丁寧な援助が必須です。
遊ぶ前の確認事項としては
- プールの周りやプールに破損がないか
- 玩具や浮き具などに破損がないか
- 水温・水質は適切か
- 子どもの体調は万全か
などが挙げられます。
子どもの体調については、保護者としっかり確認をとり、少しでも体調がすぐれないようであれば見学にしたり、プールサイドに洗面器やたらいをおいて水遊び程度にとどめるといった配慮が必要です。
遊んでいる最中に必要な援助としては、
- 必ず複数名での援助・監視
- こまめな人数確認
- 適度な休息の声掛け
などが挙げられます。
特に幼児は園によって1人担任のところもあると思いますが、プール遊び・水遊びの際は必ず複数人で行うようにしましょう。
出来れば1人は子どもへの号令や援助などはせず、常に子どもの様子を監視する職員がいると、尚安全です。
また、疲れてくると怪我をしやすくなりますが、子ども達は楽しい気持ちが勝って、なかなか自分から休息をとることが出来ません。
そのため、時間を決めて休息の時間を設けて水分補給をし、熱中症や怪我の予防をすることが大切です。
実際に起きた事故の事例
これまでに起きたことのある事故の事例を2つ紹介します。
3歳児が死亡した事例
2011年に起きた死亡事故です。
3・4歳児合同でプール遊びをしていました。
始めは職員2人で監視していましたが、プールを上がる時間になり、1人は子どもの誘導、もう1人は玩具や浮き具の片付けを行ってしまったことで、プール内に目を配る保育士がおらず、その間に溺れてしまいました。
また、水を吐いて目を少し開けていたということを理由に、119番通報をせずにかかりつけの園医へ連れていき、園医が119番通報をしましたが、すぐに適切な応急処置が行われなかったことで、死亡してしまいました。
プールを上がった後の保育士の動きをお互いに確認しておくことは勿論のこと、園全体で、万が一事故が起きたときの対応方法をしっかり共有しておくことが大切です。
4歳児が死亡した事例
2017年に起きた死亡事故です。
3~5歳児が合同でプール遊びをしている際に、保育士が監視をせずに別の作業をしており、その間に溺れてしまい、4歳児は救急搬送されたが、翌日死亡してしまいました。
入水してからわずか10分ほどでの出来事ですが、保育士がしっかりと監視をしていなかったこと、また、監視の方法についてのガイドラインをしっかりと理解できていなかったことで起きた事故です。
このように、水遊び・プール遊びによる事故は、保育士の不注意が原因となって起きることが多く、同じような事例が繰り返し起きてしまっているのが現状です。
必ず子どもから目を離さないようにし、万が一事故が起きたときの対応方法についても園でしかり確認しておくことが大切です。
おすすめの水遊び・プール遊びとその注意点
水遊び・プール遊びでは、子どもに自由に遊ばせるだけでなく、保育士から遊びを提供・提案することも必要です。
そこで、プール遊びにおすすめの遊びを5つ紹介しながら、各遊びの中での注意点についても説明していきます。
1.宝探し
ペットボトルのキャップや牛乳パックなどをプールに沈め、子どもが拾い集めていく遊びです。
顔を水につける練習にもなるおすすめの遊びです。
注意点として、子どもが遊びに夢中になって周りが見えなくなり、子ども同士で衝突したり、水の中からなかなか出てこないといった姿が予想されます。
人数の多いクラスでは2グループにわけて交代制にするなど、保育士がしっかり目を配れるようにすることが大切です。
2.バタ足
乳児は座った状態で、幼児は水を浅めに張り、うつ伏せの状態でバタ足の練習をするのもおすすめです。
バタ足は水泳の基本のため、少しずつ遊びに取り入れていくことで、スムーズに泳げるようになります。
注意点としては、他児に足が当たったり、うつ伏せの場合少し水に顔をつけたりするため、怪我や事故のないよう、数人ずつ間隔をあけて行うことが大切です。
3.水中トンネル
フラフープを用意して、保育士がフープをもち、それを子どもがくぐる遊びです。
遊びを通して水に潜ることに慣れていくことができます。
注意点として、1人ずつしか通ることが出来ないため、フープを持っている保育士は潜っている子を、フープを持っていない保育士はプール全体を監視して、他の子の様子を見るようにしましょう。
4.流れるプール
子どもが同じ方向に歩くことで、水流が出来て流れるプールを作ることができます。
水流が出来たら玩具を浮かべたり、子ども自身が浮いたりして流れるプールを楽しむことができます。
注意点として、子どもが走ったりぶつかったりしないように事前に約束事として伝えたり、プールが浅い場合はプールの外へ転倒しないように留意する必要があります。
5.ワニ歩き
プールの水を浅めに張って、うつ伏せの状態で手をつきワニのように歩く遊びです。
うつ伏せでのバタ足練習の前段階として取り入れることができます。
注意点として、水面と顔の距離が近いため、水深が浅かったとしても注意深く子どもの様子を観察する必要があります。
また、子ども同士の衝突等がないよう、動く方向を一定にするといった配慮も必要です。
夏のプール遊び・水遊びは子どもにとって、とても楽しく気持ちの良いものです。
怪我や事故のないよう保育士がしっかり職員配置を考えながら、声を掛け合い連携をとっていくことで事故を未然に防ぐことが可能です。
また、プール遊びや水遊び中にヒヤッとしたことがあればヒヤリハットとしてすぐに他保育士と共有することも大切です。
今回紹介した基本的な注意点や、おすすめの遊びの中での注意点は、ぜひ今後のプール遊びや水遊びをする際の参考にしてみてください。