給食を食べてくれない時の対処法をご紹介
保育園での援助の悩みで多いのが食事に関する悩みです。
食べるのが遅い・食具が正しく持てない・食べるときの姿勢やマナーが悪いなど、給食中にはいくつもの悩みがあります。
今回はそんな給食の悩みの中でも多い「食べてくれない」という悩みについて詳しく紹介していきます。
子どもが給食を食べてくれないときに保育士はどのように対処すればいいのか、また接するときの注意点なども踏まえて詳しく説明します。
給食を食べてくれない原因
給食を食べてくれないのには、子どもなりの理由がある場合がほとんどです。
よくある原因について5つ紹介していきます。
1.嫌いなものが入っている
子どもが給食を食べてくれない原因の多くは、子どもが苦手な食材が入っているからです。
例えば人参が苦手な子は、カレーに人参が入っていると、人参をよけてカレーを食べる子もいれば、人参が入っているという理由でカレー自体を食べない子もいます。
2.味付けが苦手
大人と同じ味付けであったり、外食などの濃い味付けに慣れていて子ども向けの少し薄味の味付けに抵抗があるという子もいます。
また、ケチャップやマヨネーズといった調味料の味が苦手で、普段は卵を食べるのにケチャップがかかっていると食べないといった味付けの好き嫌いもあります。
3.食べたことがない
いわゆる「食べず嫌い」というもので、食べたことのない食事に抵抗があるケースです。
食べず嫌いの場合は実際に一口食べてみるとその後は普通に食べられる場合もあるので、子どもにまずは一口食べてもらうのがおすすめです。
4.精神的不安
初めての場や慣れない場所での食事であったり、担任以外の保育士で人見知りをしている、母親の妊娠や出産といった家庭環境の変化など、精神的に不安定な時期は食事が進まないことが多いです。
今まで給食を食べていたのに進級して食べなくなったなどは子どもが精神的に不安定になっていることが考えられます。
5.体調不良
普段は食べるのに今日は食べないといった理由の多くは体調不良の場合が多いです。
熱や風邪症状はなくても、何となく身体がだるい・疲れているといった理由から食事が進まないことがあります。
また、体調不良で欠席した後の登園後も身体が本調子ではなく食欲が落ちていることがあるため、そういった時には無理せず食べられる量だけで終わりにする配慮が必要です。
対処法や接する際の注意点
実際に給食を食べないときの対処法について、注意点も踏まえて5つ紹介していきます。
1.食育を行う
自分たちで野菜を育てたり、料理をすることで、自分の作ったものであれば食べられることがあります。
また、食育に関する絵本を見て「なぜ食べることが必要なのか」を伝えていくことも効果的です。
野菜は元気に遊ぶため、肉や魚は大きくなるためなど、子どもにわかりやすいように簡単にでいいので、栄養素について伝えることで、「お肉食べたら大きくなれるんだよね、頑張って食べてみよう」「お野菜食べないと風邪引いて保育園で遊べなくなっちゃうよ」のように、声を掛けることが出来ます。
2.スモールステップで進めていく
苦手な食材がある場合は、食べ始める前に思い切って一口で終わる量に減らします。
「せっかく作ってくれたから一口は食べよう」と声を掛け、食べられた時には思い切り褒めます。
そうすることで子ども自身「食べられた」という自信に繋がります。
一口食べられたから次は減らさず「この前食べられたでしょう」と言うのではなく、しばらく一口食べることを続け、慣れてきたら二口・三口…と少しずつ増やしていき「始めは一口しか食べられなかったのにこんなに食べられるようになったね」と、少しずつ進めていくことで、無理なく食べられるようになってきます。
「苦手なものは残してもいい」ではなく、始めから量を調整しておき、お皿の上を綺麗にする(完食する)という習慣を付けることが大切です。
3.友達や保育士が傍で食べてみる
周りの人が食べていて「美味しい」と言っているものには興味をもって食べてくれることもあります。
保護者から「給食はしっかり座って食べているようだけど、家だと遊んでしまって食べない」といった悩みを聞くこともありますが、保育園では周りにたくさん友達がいて、友達がみんな座って食べているという状況だからこそ落ち着いて食事ができるというのが大きな理由になります。
同じように、周りの友達や保育士が傍で食べて「美味しいよ、一緒に食べよう」と声を掛けることで、周りにつられて頑張って食べられることがあります。
4.自分で食べれられるまで根気強く待つ
毎日のように「食べなさい」と声を掛けられると、給食の時間や食べるという行為そのものが嫌になってしまう可能性があります。
特に精神的に不安定な時期は無理強いしたりせず、子どもが食べられるようになるまで根気強く待ってあげることも大切です。
始めから給食の量を調節しておき、「今日はこれ位にしたから頑張ろうね」のように声を掛け、その後はしばらく様子を見ましょう。
一口も食べないようであれば「どれなら食べられそう?」とその日のメニューの中からどれか1つに絞り、それが一口でも食べられたら褒めてあげるのもいいでしょう。
5.保護者に相談する
多少の好き嫌いは多くの子どもにあるものなので気にしすぎる必要はないですが、精神的に不安定な時期であったり、普段は食べるのに食べない、あまりに好みに偏りがある(白米しか食べない等)時には保護者に相談することも大切です。
精神的に不安定な時期であれば、園での子どもの様子や援助方法について話したり、今日に限って食べないなどであれば園での様子を伝え、自宅での様子も気にしてみてもらい、翌日確認するといったことが必要です。
また、食へのこだわりが強かったり、好みに偏りがありすぎる場合は発達面での心配も出てきます。
必要に応じて病院や支援施設を受診してもらうことも視野に入れながら、家庭での食事の様子を確認することが大切です。
自宅で給食について話をしてもらう、給食に似たようなメニューを作ってもらう等、家庭と連携しながら進めることも大切な対処法の1つです。
保護者に伝える際には「人参を食べない」と伝えるのではなく、「小さくしたりご飯と一緒にしたりしても食べないのですが、お家では食べられますか?」のように、「こうしてみたけど食べない」と、保育園側でも工夫はしているけど食べないということを伝えることで、保護者に嫌味なく伝えることが出来ます。
給食時の「食べてくれない」という悩みは子ども1人1人によって援助方法が違い、悩むことも多いですが、大切なのは子どもが給食の時間や食べることを嫌にならないようにすること・食べられた時には思い切り褒めてあげる事です。
体調がすぐれない・精神的に不安定であるサインであることもあるため、しっかりと子どもの様子を見逃さないようにすることが重要です。
今回紹介した対処法を試しながら、子どもが無理なく楽しく給食を食べられるようにしてみて下さいね。