冬に気を付けたい日常保育に潜む危険~園児編~
冬はクリスマスやお正月など、子ども達が楽しみにしているイベントがたくさんあり、寒さに負けることなく元気に過ごしています。
氷や雪、霜やつららなど、冬ならではのものにも興味津々ですが、冬の保育では気を付けてほしい点もあります。
今回は冬だからこそ気を付けてほしい危険について、詳しく紹介していきます。
1.転倒
路面に雪があったり凍っていたりすると、春~秋に比べて転倒する可能性が高まります。
マンホールやグレーチングと呼ばれる鉄の網で出来た排水溝の上は特に注意が必要ですが、コンクリートの路面でも注意が必要です。
体操をして身体を温めてから散歩に出かける、歩く速度を普段よりもゆっくりにする、歩く際にはつま先ではなく足全体を使って歩くように伝えたりすることで、転倒防止の効果が期待できます。
また、普段から転びやすい子どもは保育士と手をつないだり、手の届く場所にして列を作ったりすることで、大けがを防ぐことにも繋がります。
他児と手をつないで散歩する園も多く、1人が転ぶと手をつないでいる子や前後を歩いている子も巻き込まれてしまう可能性があるため、冬の散歩時には様々な可能性を考えてすぐに対応出来るようにしておくことが大切です。
2.しもやけ
しもやけは、手足の指・かかと・鼻のあたま・頬・耳たぶなどの、外気にさらされる部分や、冷えやすい末梢部分に起こりやすいです。
子ども達は、雪や氷など、冬ならではの自然物に興味津々で、寒さや冷たさを忘れて遊んでしまいます。
スノーグローブやスノーブーツの場合は撥水がしっかりしていて、普通の靴や手袋に比べるとしもやけになりにくいですが、子どもの手足は細くて動き回るので、腕や足の隙間などから雪が入り込んでしまう可能性もあります。
防寒対策をしていれば絶対に大丈夫というわけではないので、雪遊びや氷遊びの際には時間を決めて長時間遊び続けないようにして、しもやけになってしまうことを防ぎましょう。
また、遊び終えたあとは必ず保育士が子ども達の様子を確認して、濡れている場合には着替えたり、ぬるま湯などで手足を温めるといった対応をすることで、しもやけを防ぐことが可能です。
3.低温ヤケド
身体が冷えすぎるとしもやけになってしまいますが、身体を温めるために便利なカイロも使い方に注意が必要です。
過去には、雪の日に自宅から貼るカイロを付けてきた子どもがカイロを付けたまま午睡してしまい、低温ヤケドになってしまったという事故も起きています。
園生活で夏場に起こりやすいヤケドは、遊具や手すりなどの温度上昇によるもので、保育士が事前に触って遊べるかを確認することで防ぐことが出来ます。
一方で低温ヤケドは通常ではやけどしないような温度で起こる熱傷のことで、保育士が気が付きにくいため、細心の注意が必要です。
長時間暖かいものに触れ続けることで低温ヤケドになるため、保育園でカイロが禁止されていない場合には、活動後や午睡前などに1人1人丁寧にカイロがついていないか確認することが大切です。
また、園だよりや保健だよりなどでも保護者に低温ヤケドについて記載することで、保育園・家庭共に防ぐことも大切です。
園で多い低温ヤケドはカイロがほとんどですが、自宅の場合、電気毛布や湯たんぽ、ホットカーペットなども低温ヤケドの原因になります。
ホットカーペットの上で眠らないようにする、電気毛布や湯たんぽは事前にセットして布団を温めておき、眠る前に布団から出したり電源を消してから眠ることで、低温ヤケドを防ぐことが出来ます。
乾燥するという理由から、暖房を付けずに湯たんぽや電気毛布を活用する家庭も多いですが、加湿器と組み合わせたりタイマー設定したりして暖房を活用することがおすすめです。
4.脱水症状
夏場は暑さもあり、こまめに水分補給をするように保育士から声を掛けることも多いですが、冬場は夏に比べて声を掛ける回数は少なくなる傾向にあります。
しかし、子どもは体温調節機能が未熟で、保護者が外の気温に合わせて厚着をさせ、保育園で暖房がかかっていると熱がこもってしまい脱水症状を起こす可能性があります。
また、冬場に流行しやすい「ウイルス性胃腸炎」や「ノロウイルス」といった感染症は、嘔吐・下痢の症状がでるため脱水症状になりやすく、乳幼児が脱水症状を起こしやすい時期は2月とも言われている程です。
外気温が寒いからと言って脱水症状が起きないわけではないので、冬だからと言って安心せず、こまめに水分補給をするように声掛けを行っていくことが大切です。
5.気温差
夏よりも冬の方が外気と室温の温度差が大きくなる傾向にあります。
夏の場合、外気35度に対して室温27度の場合、差は8度ですが、冬の場合には外気8度に対して室温22度でも14度の差があります。
外気温に合わせて洋服を厚着した場合には冬場でもあせもがでたり、室温に合わせた服装のまま戸外に出て風邪を引いたりする可能性があります。
まだ体温調節が未熟な子ども達にとって気温差は体調を崩す原因にもなり得るため、室温は20~23度に設定する、子どもの服装を確認し、裏起毛や3枚着ている場合には室内では1枚脱がせたり裏起毛ではない洋服に着替えたりして服装の調整をする、戸外にでる際には上着やマフラー等を活用して身体が冷えすぎないようにするといった配慮が必要です。
6.感染症対策
冬はインフルエンザやウイルス性胃腸炎、ノロウイルスなどの感染症が流行しやすい季節です。
感染力が強く広がりやすいため、日頃からしっかり手洗い・うがいをするように声を掛けたり、保育士が玩具を消毒したりする必要があります。
また、冬に流行しやすい感染症を保健だよりなどで保護者にも知らせ、体調が優れないときには早めに病院受診をしてもらうようにしておくことで、園内での流行を抑えることにも繋がります。
冬の保育で重要なのが、防寒対策です。
寒いと身体が固まってしまい、怪我に繋がりやすいので、体操をして身体を温めることも大切です。
戸外に出るときにはしっかりと防寒対策をし、室内に戻ったら子どもの様子に合わせて衣服を調整する事で、子どもの体温調節機能を育てていくことにも繋がります。
冬はバケツに水を張っておいて氷を作ったり、雪遊びをしたりと冬ならではの遊びを楽しむことが出来る季節です。
今回紹介した冬だからこそ気を付けたい注意点を参考にしながら、冬の保育も楽しめるようにしていきましょう。