保育園の看護師さんって何してるの?
保育園には調理師や管理栄養士、看護師や保健師など、保育士以外の資格を持った人が働いている園も多くあります。
今回はその中でも保育園で働く看護師さんの仕事や配置基準などについて紹介していきます。
保育園で働く看護師の配置基準
保育園では子どもの人数によって配置基準が決まっていて、例えば保育士1名に対して0歳児であれば3名、1・2歳児であれば6名というように定められています。
看護師は保育園に必ず配置しなければいけないものではなく、努力義務といって「できれば看護師を常駐させてください」という程度にとどめられています。
看護師は1名に限り保育士として数に含むことが出来ます。
例えば園全体の配置基準の保育士人数が20人の場合、保育士19名+看護師1名でも配置基準を満たしていることになります。
一方で、保育士18名+看護師2名の場合には、保育士の数が19名という数え方になるため、配置基準を満たすことが出来ません。
また、以前は准看護師は数には含まれませんでしたが、現在は准看護師であっても看護師と同じように保育士の数に含めることができるようになっています。
保育園で働く看護師の仕事内容
園によって仕事内容が変わることが多いですが、基本的には、子どもの健康管理・職員の健康管理や保健指導、保護者への保健指導や健康相談の3つを行います。
子どもの健康管理
子どもが保育園で健康に生活出来るように健康管理を行うことが、保育園で働く看護師の主な仕事になります。
子どもの健康管理の内容としては、
- 怪我や体調不良児の対応
- 感染症予防に関わる保健指導
- 園内の衛生管理
- 内科検診や歯科検診の際の補助
などが挙げられます。
怪我をした際の応急処置や、発熱や嘔吐などの体調不良の際に保護者が迎えに来るまでの処置、子どもの様子を保護者に引き継ぐなどは、看護師の仕事として行われている園がほとんどです。
例えば園内で胃腸炎が流行っていた場合に嘔吐や下痢などの症状がみられた場合には、保護者に子どもの様子と共に、園内で胃腸炎が流行っているため、病院を受診した際にその旨を医師に伝えるように声をかけるなど、子どもの様子と園内の状況を的確に保護者に伝えることで、園内感染を抑えることに繋がります。
また、保健指導では子ども達に手の洗い方やうがいの方法などを伝えて、感染症予防の大切さなどを伝えていきます。
子どもには言葉で説明するよりも、絵本や紙芝居、絵カードなどを使って説明した方が伝わりやすいことから、保健指導に使うものの準備や製作も仕事に含まれる場合も多いです。
園内の衛生管理として、手すりや玩具の消毒、遊具の点検など、感染症や怪我を防ぐための衛生管理も必要になります。
職員の健康管理や保健指導
子どもの様子を身近で見ているのは保育士なので、保育士にも保健指導を行う必要があります。
例えば、夏は手足口病やとびひ、冬には胃腸炎やインフルエンザなど、季節ごとに流行しやすい感染症とその症状を伝えたり、現在園内で発生している感染症の特徴を伝えるなども、看護師の仕事になります。
また、子どもの病気は感染力が強いことも多いため、保育士の健康管理や感染症予防に対する保健指導も必要になります。
保護者への保健指導や健康相談
保育園で過ごす時間が長いとはいえ、あくまで子育てをしているのは保護者です。
そのため、現在園内で発生している感染症について掲示などを使って詳しく説明したり、手洗いうがいの正しい方法を保健だよりなど発行して伝えていくといった、保健指導を行います。
また、子どもの成長について悩みを感じている保護者も多く、「最近体重の増えが悪い」「身長が小さいのが気になる」といった、「病院を受診するほどではないような気がするが、このまま様子を見ていいのか不安」などの悩みを感じている保護者から相談を受けることがあります。
例えば「小児科を受診しているけれど鼻水がよくならない」という相談であれば耳鼻科の受診を提案したり、身長や体重について不安を感じているようであれば発達相談を行っている小児科を提案したりするなど保護者からの相談に対してアドバイスをしたり、必要であれば専門機関の受診を勧めたりするのも看護師の仕事の1つです。
そのため、乳幼児の発達や、乳幼児に多い病気や怪我、園付近や市内で小児を診てくれる耳鼻科や皮膚科などのリストアップなども、看護師の仕事として求めている園が多いです。
看護師がいることのメリット
保育士や保護者から見て、園に看護師が常駐しているというのは、多くのメリットがあります。
1.安心感
熱が出た時や怪我をした時、勿論保育士も基本的な応急処置や対応方法は知識としてありますが、実際に行うとなると「合っているのか」といった不安を抱えています。
例えば、熱性けいれんを持つ子も多くいますが、実際に熱性けいれんを目にしたことがある保育士は意外と少なく、知識はあっても実際に熱性けいれんが起きたときに正しく対処できるか不安を感じる保育士は少なくありません。
筆者も9年保育士をやっていますが、実際に保育園で熱性けいれんを目にしたのは1年目の時に1度だけでした。
また、保護者としても、看護師=適切な処置をしてくれるという風に考えているため、熱が出たとき・怪我をしたときに看護師に診てもらうことができるというのは、保育士としても保護者としても安心感があります。
2.正しい知識を得られる
今は気になる症状があればすぐにネットで調べられるようになりました。
困った時に便利ではありますが、多くの情報があるため、どれが正しい情報なのか見極める力も必要になります。
看護師が園にいると、怪我をしたときの対処法や正しい感染症予防の方法などを相談して、専門知識を教えてもらうことが出来ます。
看護師さんが行う保健指導は、子どもだけでなく、保育士や保護者の視点からも勉強になることが多く、正しい知識を身に付けることが出来ます。
保育園では看護師の常駐が義務付けられているわけではないので、看護師のいない保育園も多くありますが、看護師が常駐していることで、子どもになにかあった時にはすぐに対応してもらうことができ、保育士や保護者も正しい知識を得られることができるなど、たくさんのメリットがあります。看護師のいる園の場合、園の規模にもよりますが、基本的には園に看護師1人という場合が多く、看護師さんは子どもの関わり方や保育士との連携の仕方、保護者対応の方法などに悩みを持っている場合も多いため、保育士と看護師、コミュニケーションをしっかりととって、お互いが安心して働けるような職場づくりを心掛けることが大切です。