外国籍の園児や保護者対応はどうしてる?
園児の国籍は日本だけではなく、様々な国籍の園児がいます。
筆者も両親が中国・台湾・ベトナム国籍の児との関わりがありました。
それぞれの国で文化や言葉が違うので、違いを理解しながら保育をしたり、保護者対応をすることが大切になります。
今回は、外国籍の家庭への悩みや対処法、コミュニケーションのとり方などについて紹介していきます。
外国籍の園児へ感じる悩み
まずは、外国籍の子ども本人に感じる悩みについて紹介していきます。
1.保育士の言葉の理解ができない
入園する時期が遅ければ遅いだけこの悩みが強くなる傾向にあります。
家庭では両親の母国語で会話をしているため、日本語に触れている時間が少ないことが理由に挙げられます。
0歳児クラスで入園していれば、0歳から保育園で日本語に触れることが出来ますが、3歳から入園してくると、それまでほとんど日本語に触れてきていないことになります。
そうすると、基本的な「トイレに行く」「着替える」などの基本的生活習慣の単語も言葉で伝わらず、他の子に比べて言葉の理解が出来ないために手厚く保育を行ってあげる必要があるという悩みを抱える保育士が多いです。
解決策
入園の年齢にもよって異なりますが、0歳児の場合は他の子と同じようにコミュニケーションをとることで、次第に言葉と行動が結びついて理解出来るようになっていきます。
1・2歳児の場合、言葉だけでなくジェスチャーを組み合わせて伝えたり、手をつないで一緒にトイレにいき「トイレだよ」とゆっくりと話しかけるなどの対応で、少しずつ理解していしていくことが出来ます。
3歳児以上の場合は、保育士の援助としては1・2歳児同様の援助や、写真や絵カードを使って伝えていきます。
また、幼児になると他児との関わりが上手になるので、周りの子どもに手伝ってもらうというのも援助方法のひとつです。
子ども同士の方が柔軟性もありコミュニケーションをとりやすく意思疎通ができることも多いです。
2.言葉の発達に関する悩み
自宅では母国語、保育園では日本語で生活している子は、日本語が理解出来るようになっても、実際に子どもが自分の気持ちをしっかりと言葉で伝えられるようになるまで時間がかかる傾向にあります。
保育園で過ごしていくうちに言葉の意味を理解出来るようになるため、保育士の話しは理解でき、基本的生活習慣は問題なく行えたり、簡単な言葉(「やって」や「ちょうだい」など)は言えても、何が嫌だったのか、どうしたかったのかなどの複雑な自分の感情を日本語で伝えられるようになるまでに他の子よりも時間がかかることが多いです。
そのため、言葉の発達に問題があるのか・生活上しょうがないものなのかの区別がつきにくく、発達段階として正常なのか保育士が判断し辛いという悩みがあります。
筆者が3歳児の時に担任をしていた子は、少し言葉が出てきたと思った頃に夏休みの長期休暇で2ヶ月母国に帰り、日本語を忘れて帰ってきてしまったという経験もあります。
解決策
子どものしぐさや表情、その時の状況などから保育士が気持ちを言葉にして代弁してあげることが大切です。
保育士が繰り返し気持ちを言葉にして代弁することで、「こういう時はこう言えばいい」ということを学んでいくことができます。
時間はかかりますが、入園してから続けていくことでしっかりと言葉で気持ちを伝えられるようになります。
簡単な言葉もなかなかでない、保育士の言葉も理解できることが少ないという場合には言葉の発達の遅れがある可能性もあるため、主任や園長、地域の保健師などに相談するのも1つの手です。
外国籍の保護者に感じる悩み
続いて外国籍の保護者に感じる悩みについて紹介していきます。
1.こちらの要求や話がうまく伝わらない
園だよりや園の決まりなどの大切な内容が保護者に伝わらなかったり、持ち物などのお願いごとが伝わらずに持ってきてもらえないなど、意思疎通がうまくいかないことに悩みを感じるという保育士がとても多いです。
解決策
園だよりなどは文章量が多く、全ての日本語を読んで理解するのは難しいので、本当に大切なところにマーカーを引いてわかりやすくするなどの工夫で、こちらの要求が伝わりやすくなります。
また、持ち物は言葉だけでなく見本を見せるとしっかり伝わります。
0歳児で担任をしていた時に離乳食の進め方については、今食べている中期食の写真と、後期食の給食の写真をとって、「おうちでどっち食べてますか?」と確認をしていました。
特に、量や大きさなどは日本語で伝えても理解しにくい場合があるため、見本を見せることがおすすめです。
基本的には両親のどちらかが多少日本語が理解できるという家庭が多いですが、両親ともに日本語の理解が難しいようであれば翻訳ツールを使うというのも1つの手です。
筆者が担任していた子は、両親ともに簡単な日本語しか理解してもらえなかったのですが、お姉ちゃんが小学生で日本語がしっかり話せることもあり、一緒にお迎えに来た時にはお姉ちゃんに翻訳してもらったり、連絡帳に記載して自宅で翻訳してもらったりしていました。
2.体調などによる価値観の違い
これは外国籍問わずある問題でもありますが、微熱程度でも休んでくれる家庭もあれば、37.4℃で連れてくる家庭など、子どもの体調の「大丈夫」の基準が異なることが多くあります。
解決策
園でしっかりと方針を決めておき、その都度伝えていくことが大切です。
熱は比較的わかりやすく、平熱になってから登園してくれる保護者が多いですが、例えば胃腸炎の場合には嘔吐が落ち着いたら食欲がなくても連れてきたり、多少下痢が出ていても連れてきてしまう家庭もあります。
そのため「普通便がでてからの登園」「食欲が通常に戻ってからの登園」など、症状がみられた時点で登園の目安を伝えてあげることで、園内感染を抑えたり、子どもが無理なく生活できるようにすることが出来ます。
国籍が違うと文化の違いや言葉の違いなどから、コミュニケーションをとる際に悩むこともありますが、保育士も子ども達も様々な人種や文化に触れることができるいい機会でもあります。
今回紹介した解決方法を参考にしながら、子どもも保護者も安心して保育園生活が送れるように工夫してみて下さいね。
母国語の挨拶の言葉を聞いて日常に取り入れたりして、子ども達が様々な文化や人種を受け入れられるような保育を行うのもおすすめです。