はだし保育ってなに?
保育園によってははだし保育を取り入れている園がありますが、何のためにはだし保育を行うのか、はだし保育のメリットやデメリットは何かなどについてはよくわからないという方も多いです。
今回ははだし保育について紹介していきます。
はだし保育とは
はだし保育とは言葉の通り、靴下や靴を履かずにはだしで園生活を過ごす保育方針のことを指します。
園によって一年中はだし保育・暖かい季節のみはだし保育、戸外に出るときもはだしやはだしに靴を履く・戸外に出るときは靴下と靴を履くなど、園によって方針が異なります。
また、子どもがはだし保育でも保育士は靴下を着用してもいい園もあれば、保育士もはだしで過ごす園もあるため、気になる場合にはどのようにはだし保育を進めているのか確認してみるのがおすすめです。
はだし保育のメリット
はだし保育にはどのようなメリットがあるのか紹介していきます。
1.土踏まずの形成を促す
赤ちゃんには土踏まず(足裏のアーチ)がなく、歩く経験を重ねることで土踏まずが形成されていきます。
乳児期に土踏まずがない状態を「乳児期扁平測(へんぺいそく)」といいます。
扁平測になると歩行の不安定さや姿勢の悪さなどの症状がみられる場合もあるため、土踏まずの形成はとても大切なものとなっています。
靴下を履いていることで足裏への刺激が少なくなってしまうため、はだし保育を通して足裏を刺激し、たくさん身体を動かすことで土踏まずの形成を促すことに繋がります。
2. 五感を養う
足の裏は触覚や感触、圧覚などを感じることができる感覚器官です。
そのため、はだし保育を通して床の冷たさ・暖かさや、地面の触覚(ツルツル・ボコボコ)や、芝生や砂の感触などを感じることで、五感を養うことに繋がります。
五感の発達は脳を活性化させると言われています。
例えば砂のサラサラした感触を気持ちいいと感じることで、情緒が養われます。
情緒が養われると様々なことに感動したりできる豊かな心を育むことに繋がります。
また、その気持ちを言葉で伝えようとすることで語彙力も養われていき、豊かな表現を行えるようにもなっていきます。
はだし保育で足の裏から様々な刺激を受けて五感を育てることができるというのも大きなメリットの1つと言えます。
3.血行が促進される
足の裏は「第二の心臓」とも呼ばれていて、たくさんの血管・神経が通っています。
はだしで過ごすことで足の裏が刺激されて血行促進を流す効果があり、血行が良くなることで免疫力が上がり、風邪を引きにくい身体作りに繋がります。
はだし保育のデメリット
続いてはだし保育のデメリットについて紹介していきます。
1.不衛生
はだしで過ごすことで足の裏に汚れや菌をつけた状態で過ごす時間が多くなります。
足をなめる・座った時などに足をよく触る子の場合、その手で目をこすったり指しゃぶりをすることで菌が身体の中に入ってしまいます。
こまめな床掃除や、定期的に足を拭くことで清潔を保つ援助が必要です。
また、足裏を怪我している時には傷口から菌が入って化膿してしまう可能性もあるため、絆創膏を貼ったり、怪我が治るまでは靴下を着用するなどの工夫も大切です。
2.怪我の可能性に繋がる
砂に混ざっているような小さな石でも、靴や靴下を履いていないととがった部分で切ってしまったりと、怪我のリスクが上がります。
また、室内遊びでも落ちている玩具を踏んでしまって足裏を切るという怪我ははだし保育に多い傾向にあります。
落ちている玩具はすぐに箱に片付ける・危険がないか子ども達が遊び始める前に確認をするなどの援助をして、怪我を防いでいくことが大切です。
3.靴や靴下に違和感を感じる
小学校では靴下と上履きを履いて1日生活をする学校が多く、これまではだしで過ごしてきた子ども達は違和感を感じてしまう可能性があります。
休日は靴下を履いて生活してもらったり、製作活動など座って活動をする時間は靴下と上履きを履くなど、少しずつ靴や靴下に慣れていけるように保護者と連携をとって援助していくことが大切です。
はだし保育で気を付けること
筆者の園でもはだし保育を取り入れていて、筆者は子ども達の足裏の体感温度に気を付けています。
例えば気温がそこまで高くない日でも、日差しが強いと園庭や遊具の温度が上がり、はだしで遊ぶには地面が熱くなってしまっていることがあります。
そうするとヤケドの恐れがあるため、滑る危険のない場所であれば水を撒く、熱すぎるようであれば靴を履くなどの援助を行っています。
また、冬場は床が冷たくなりしもやけの可能性もあるため、暖房を付けたり戸外に出る時には靴下を着用したりするようにしています。
「はだし保育=絶対にはだしでなくてはいけない」と考えるのではなく、その時の気温や状況に応じて適切に援助をすることで、子ども達がはだしで過ごす心地よさを感じることが出来ます。
また、筆者の園では散歩の時は靴を履きますが、靴下は履かずにはだしに靴を履くため、靴の匂いが発生しやすいです。
散歩後は足を洗って室内へ入るようにしていますが、匂いがするということは、靴の中で菌が繁殖しているという事なので、こまめに靴を洗ってもらうように保護者に伝えて清潔を保つことも大切にしています。
今回紹介したように、はだし保育には、たくさんのメリットがあります。
上記で紹介したメリットの他にも、室内では転倒の可能性が低い(靴下で滑って転倒する可能性を下げることができる)ことや、足の裏で踏ん張る力がつくなども挙げられます。
一方でデメリットも複数あるため、デメリットをよく理解した上で援助や配慮を行っていく必要があります。
はだし保育を行っている理由を聞く保護者も多くいるため、なぜはだし保育を取り入れているのかを確認しながら、はだし保育のメリットについて保護者に説明できると、安心してもらえます。
はだし保育に囚われるのではなく、怪我をしている時や寒い時には靴下を着用しても良いなど、柔軟に対応できると子どもも保護者も安心・安全に保育園生活を送ることができます。
はだし保育は衛生面が特に気になる問題になるため、清潔を保てるように保護者と連携をとりながら進めていくことが大切です。