複数担任を上手く行うポイントとは
保育園勤務の場合、乳児クラスの多くは複数担任、幼児もフリー保育士などと連携をとりながら保育を進めることが多いですが、複数担任で大切なのが職員間の連携です。
今回は、複数担任のメリットやデメリット、複数担任をうまく行っていく上でのポイントなどについて紹介していきます。
複数担任のメリット
まずはメリットから紹介していきます。
1.悩みを相談・共有することができる
子どもの発達や保育の進め方など、どのように援助を行ったり保育を進めていけば良いのかを相談することが出来ます。
一人担任の場合でも他の保育士に相談することは出来ますが、実際に日中の子どもの様子を見ていないと的を得た解決策などが出てこない場合もあります。
複数担任であれば、日頃から一緒に生活をして子どもを見ているため子どもの様子や悩みについての具体策などを的確に考えていくことができるというのは心強く、大きなメリットの1つです。
2.仕事を振り分けることができる
連絡帳・児童票・月案やカリキュラムの作成など、日々の保育で行う仕事は多いですが、担任が複数いることで、仕事を振り分けることが出来ます。
例えば3人担任の場合、月ごとに1人は月案・1人はカリキュラム・1人は製作準備と振り分けて、毎月ローテーションで仕事を回していくこともできます。
1人担任の場合、製作準備などはフリーの先生にお願いすることができても、書類は担任が書かなくてはいけない場合もあるため、仕事量が増えてしまう傾向にあります。
3.他の保育士の保育方法などを学ぶことができる
1人担任の場合は自分で子ども達への関わり方などを試行錯誤していく必要がありますが、複数担任の場合には、他の保育士の援助方法を間近で見ることができ、いいと思ったことなどは真似して自分のスキルにしていくことができます。
自分で試行錯誤した内容だけでなく、身近な保育士の保育も積極的に取り入れていくことで、スキルアップすることができるというのは大きなメリットの1つといえます。
複数担任のデメリット
次にデメリットについて紹介していきます。
1.コミュニケーションについての悩み
保育士同士も人間なので、どうしても性格の合う・合わないなどがあります。
苦手な先生と同じクラスで担任を持つとなると、コミュニケーション方法に悩みを感じる場合もあります。
どのようにコミュニケーションをとったら良いのかを他の保育士に相談したり、3人以上の複数担任であれば他の保育士に間に入ってもらうなどの工夫で、円滑に仕事を進められるようにすることが大切です。
仕事上のコミュニケーションがとれていれば問題ないので、プライベートで無理に距離を縮めようとしないことも大切です。
2.保育方針の違い
保育方針が違うと、お互いの保育がストレスに感じるという悩みもあります。
極端な例でいうと、2人担任で1人は積極的に戸外遊びを取り入れて運動面を伸ばしていきたい、もう1人は製作やリトミックなどの室内活動を積極的に取り入れて指先や身体の発達を促していきたいという場合、正反対の保育方針のためどこに落としどころをもってくるのかが定まりにくい傾向にあります。
上記の例の場合、「春や秋などの過ごしやすい季節は積極的に戸外遊びをしていき、梅雨や夏などは室内で製作などを積極的に取り入れていく」というのがいいと思いますが、2人がそれで納得できない場合には日々の保育が楽しいと感じられなくなってしまう可能性もあります。
うまく落としどころが定まらない時には主任や園長に相談して間に入ってもらうこともおすすめです。
3.情報共有に関する漏れ
複数担任の数が多ければ多いほど、情報共有が難しくなります。
例えば保護者に言われた内容を1人担任の場合は自分が把握していれば良くても、3人担任の場合には残りの2人にも伝える必要があります。
バタバタしていて伝えそびれてしまった・1人には伝えたがもう1人には伝え忘れてしまったなど、情報共有に関してのトラブルは多い傾向にあります。
園内で済むような内容(期限など)については、園長や主任に聞いていなかった旨を説明することが出来ますが、保護者から言われた内容(子どもの様子や相談事など)については「知りませんでした」では保護者からの不信感を抱いてしまいます。
情報共有漏れがないように言われた内容はノートに書いて全員が把握できるようにするなどの工夫が必要です。
複数担任をうまく行うポイント
最後に、複数担任をうまく行っていくうえでのポイントについて紹介していきます。
1.話し合いの機会を設ける
コミュニケーションをとるためにも、話し合いの機会を適度に設けることが大切です。
かしこまった話し合いの場でなくても、午睡時間に連絡帳を記入しながら雑談をする・月案やカリキュラムについて話をするなどでも、話をする機会を設けることでコミュニケーションがとれるようになっていきます。
コミュニケーションがとれるようになってくると、保育も円滑に進められるようになるため、担任間で話をする機会を多く設けていくことも大切です。
2.互いの意見を尊重する
複数担任の場合、必ず自分の意見が通るわけではありません。
話し合いの時などに「それは違う」などと、自分の意見を通そうと相手を否定するのではなく、相手の気持ちを尊重しながら話をすることで、クラス内の雰囲気も良くなります。
例えば自分のやりたい活動がある時に「私はその活動ではなくこの活動がやりたいんです」と言うよりも、「その活動いいですね。私はこういう理由でこの活動がやりたいと思ったんですが、どう思いますか?」など、相手のことを否定するのではなく一度受け入れた上で自分の意見も言い、それに対してどう思うか相手の意見も聞くことで、互いに嫌な気持ちをすることなく話し合うことに繋がります。
「意見が合わない=敵」ではなく、「そういう考え方もある」と、自分の学びにすることでスキルアップにも繋がります。
複数担任は人間関係が大変ではありますが、うまく人間関係が築けていると、仕事や悩み、情報を共有できたり、他の保育士の保育を身近で見ることができるというメリットもあります。
今回紹介した内容を参考に互いの意見を尊重しあいながら話し合う機会を多く設けていくことで、円滑にコミュニケーションをとれる場合もあります。
また、人間関係がどうしてもうまくいかないときには我慢せず、他の保育士や園長、主任などに相談することも大切です。