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CME保育士コラム

子ども主体の保育って実現できるの?

子ども主体性を育むために、保育士主体の保育ではなく、子ども主体の保育を行う保育園が増えています。

今回は、実際に子ども主体の保育を行うにはどのように進めていけばよいのか、子ども主体の保育とは何かについて紹介していきます。

 


 

子ども主体の保育とは

子ども主体の保育とは、子どもの主体性を大切に保育を進めていく保育のことです。

保育士主体の保育では、子ども達は保育士が設定した活動を行う・保育士にやり方や進め方を教えてもらいながら取り組むことが多いですが、子ども主体の保育では、子ども達のやりたい気持ちを尊重し、自分たちで考えながら活動を進めていきます。

保育士主体の保育では子ども達の遊びの種類が増えたり、子どもの気付きに繋がる一方で、言われた通りにやればいいので、自主性や主体性が育ちにくい傾向にあります。

子ども主体の保育を行うことで、自分たちがやってみたいと思う好奇心や、それを遂行するために考えて実行する思考力や主体性が身につきます。

子ども主体の保育の進め方

初めて子ども主体の保育を行う場合、いきなり子ども達に0から考えさせるのは避けた方がいいです。

自分たちでやってみるということに慣れていない子ども達は、自分の意見が通らないことや思うように進まないことに対してマイナスな気持ちを持ってしまう可能性があります。

まずは保育士がある程度設定したうえで子ども主体の保育に慣らしていくことが大切です。

例えば製作内容を「こいのぼり」と保育士が設定したとします。

どのようにこいのぼりを作りたいかを子ども達と話し合い、出た意見を保育士がまとめます。

意見としては「自分のこいのぼりを作りたい」「みんなで大きなこいのぼりがいい」「青がいい」「赤がいい」などの意見がでることが想定できます。

こういった意見の場合、自分のこいのぼりを作りたいグループと、大きいこいのぼりを作るグループにわかれるとスムーズに進みます。

次に、どのような素材を使って作るのか(布・折り紙・模造紙など)を子ども達と話し合います。

できるだけ子ども達で話し合いが進むように、保育士は子ども達の意見をメモしながら様子をみます。

どうしても子ども達で意見がまとまらない場合には、保育士がこれまでに出た意見を整理したり、ジャンケンやくじ引きなど解決策を提案するのもおすすめです。

素材が決まったら、「どんな形にするのか」「色は絵の具?クレヨン?」「完成したものはどうやって飾る?」など、詳細を決めていきます。

話し合いだけでは子ども達が飽きてきてしまう可能性があるため、実際に使うものを見せたり、試し描きしてみたりと、子ども達が飽きない工夫も必要です。

上記のように、はじめは保育士が活動の大枠を決め、大事な部分を子ども達で考えていくような活動を繰り返し行うことで子ども達が「自分で考えて活動を進める」という行為に慣れていけるようにします。

慣れてくると話し合いが少しずつスムーズに進むようになったり、保育士が思いもよらない意見が出てくることがあります。

保育士が「絶対にうまくいかない」とわかっていても、危険が伴わない場合には子どもの意見を尊重して1回やってみるというのも、子ども主体の保育では大切です。

実際に失敗することで「どうしてうまくいかなかったのか」、「次はどうすればいいのか」を考えるきっかけになります。

子ども主体の保育の体験談

子ども主体の保育に慣れてくると、子ども達の好奇心や意欲がどんどんと出てきます。

筆者が4歳児を担任していた時に実際に行った活動ですが、電車の絵本から「本物の電車が見たい」と子ども達から意見が出ました。

そこで子ども達とバスに乗って駅へ行き、電車を見に行きました。中には初めて本物の電車を見る子どももいて、実際の駅のホームの音、電車の大きさ、駅員さんなどに大興奮でした。

翌日廃材遊びを行うと、1人の子どもが「電車作る」と言い出し、そこから駅を作る子どもも出てきました。

「電車は青だったよ」「駅の中はこんな感じだったよね」と子ども同士で話しながら作りはじめました。

保育士が「本物みたいに上手だね」と声をかけると、「本物と同じ駅が作りたい」と意見が出たので、駅づくりをしたい子ども達を集めて話し合いを行いました。

「本物と同じ駅を作るにはどうしたらいいかな?」と保育士が問いかけると「もう1回見に行く」「写真があればいいのに」と意見があがったので、再度子ども達と駅に行き、電車や駅構内の写真を撮って帰りました。

撮った写真は印刷して保育室においておき、子ども達で写真を見て話し合いながら駅は段ボールや画用紙を使い、電車は紙粘土を使って作り上げました。

最初は空き箱で電車を作っていましたが、粘土の方が大きさの自由がきくことに気が付き粘土に変更しました。

しかし色が付けられずしばらく悩んでいたので、「粘土に色を付ける方法がないか、おうちで聞いてきてごらん」と少しアドバイスをすると「紙粘土なら色が付けられるらしい」と、自宅で聞いてきた子がいて、最終的に紙粘土で作りました。

 

 

子ども主体の保育の注意点

子ども主体の保育を進める上での注意点を紹介します。

1.子どもに丸投げしない

基本的には子ども達で話し合ったり考えたりして進めていきますが、子ども達に丸投げせず、今の状況を保育士が把握しておくことが大切です。

今の状況を把握しておくことで、これはうまくいかないかもしれない・次はこうなるかもしれない、と予測を立てやすく、対策を考えやすくなります。

2.答えは教えない

基本的に子どもが困っていても、その場で答えは教えずアドバイスやヒントを伝えるようにします。

上記した筆者の体験談でも粘土で行き詰まることがあり、筆者としては「紙粘土に早く気が付かないかな」とじれったさを感じることがありましたが、「紙粘土があるよ」と答えを言うよりも「お家の人に聞いてきて」とお願いする方が、「自分で調べた」という達成感に繋がります。

また、大人からするとどう考えてもうまくいかない案ですすめることもありますが、それも答えは伝えずにまずは失敗してみる、失敗してどうしたらいいのか答えがでなければヒントを出すことも大切です。

3.強要しない

クラス全員で子ども主体の保育を行おうとすると、意見が多すぎて上手くいかないことも多いです。

また、乗り気ではない子どもに同じ活動を強要すると、保育士が主体の保育と変わらない活動になってしまいます。

筆者の行った駅作りでは、駅作りを行いたい人・そうじゃない人にわけて活動を別にしていました。

子ども主体の保育を行う際には全体保育ではなく、グループ保育を行うことでクラス全員が無理なく楽しむことができます。

 

子ども主体の保育をいきなり始めようとすると、子ども達が嫌になってしまうことが多いので、活動の中で少しずつ始めて慣らしていくことが大切です。

子どもが何に興味をもっているのかを保育士が把握し、子どもの声を拾って発展させていくことが大切です。

子ども主体で進めていたことが最終的に完成したときの、子どもの達成感や笑顔はとても素敵なものです。

今回紹介した内容を参考にしながら、ぜひ子ども主体の保育を取り入れてみてください。