マンモス園で待つ時間がなく身の回りのことを全部してしまう。子どもに身につけてもらうには
マンモス園と言われる大規模園では、子どもの人数が多いために子どもを待ってあげられる時間があまりとれず、身の回りのことを保育士が行ってしまうという園も多い傾向にあります。
しかし、着替えや食事などの基本的生活習慣は子ども自身が自分で行えるように促していきたいものでもあり、保育士が行ってしまうことで子どもの身につかないというデメリットがあります。
今回はマンモス園でも実践できる、子どもが基本的生活習慣を身に付けていくための援助方法などについて紹介していきます。
マンモス園と小規模園の違い
マンモス園で待つ時間がないという状況がどういうことなのか、小規模園と比較しながら説明していきます。
小規模園の場合には基本的に1学年に1クラスという園が多いです。
しかし、マンモス園の場合は1学年に2~3クラスある園が多く、1クラスの人数も多い傾向にあります。
小規模園の場合には1クラス20人前後でも、マンモス園の場合は1クラス25~30人で3クラス=計1学年に90人近くの子どもがいるという違いがあります。
また、マンモス園の場合は子どもの人数に合わせて保育士の人数も多く確保する必要があります。
保育士不足が深刻で、なかなかフリーの保育士などを雇うことが難しく、子どもの配置人数に合わせた保育士の人数しかいないという園もあり、多くの子どもをギリギリの人数で見なければいけない園も多くあります。
子どもの人数が多ければ多い程、クラスをまとめていくのが大変になります。
乳幼児期は発達の差に大きな違いがあり、全員が同じペースで物事を進めていくということが困難です。
トイレを例にしてみると、1学年20人の園では5分あれば全員のトイレが終わるものの、90人規模では10~15分程度かかってしまうこともあります。
また、混雑を避けるためにクラス単位で大まかに時間が決められている場合もあり、次のクラスへ迷惑をかけないために子どものことを待つことが難しく、保育士が手を貸してしまうというケースも少なくありません。
そのため、マンモス園の方が待ち時間が多く、待つ時間もないという傾向にあります。
子どもが身の回りのことを身に付けていくために
時間のない中で、子ども達が身の回りのことを身に付けていくためには、どのように援助していけばいいのかについて紹介していきます。
1.発達別保育を取り入れていく
乳児の場合は発達の差でグループを作り、担当制をとることがおすすめです。
発達の差があると、時間に余裕がなかったり、できる子の待ち時間が長くなってしまうことがありますが、同じ位の発達の子で分けることで、時間がかかるグループは先に活動を終わりにしてトイレへ行く、スムーズに行えるグループは遊びの時間を長くするといった配慮ができます。
そうすることで時間にも余裕をもって行動することができ、子どもの待ち時間も少なくて済みます。
また、グループ分けすることで子どもの人数が少なくなるため、子どもも少し落ち着いて身の回りのことに挑戦しやすくなります。
2.場所を決める
時間がない理由として、あとからくる子どもやクラスへの配慮があります。
そのため、トイレに行く子はここ、着替える子どもはここ、終わった子どもはここ、というように場所を決めることもおすすめです。
それぞれに保育士がつき、トイレが終わったら着替えのスペースへ、着替えが終わったら終わった子のスペースへと子どもを誘導して見ていくことで混雑を避けることが出来ます。
3.目標を決める
ただ「基本的生活習慣を身に付けさせたい」と思っていると、時間がない時につい手を出してしまう傾向にあります。
そのため「今月は着替えに力を入れる」というように目標を決めることがおすすめです。
目標が決まると目標達成に必要な時間を多めにとることができ、余裕をもって援助することができます。
着替えに何分程度かかるのかを把握し、活動時間を調整して子どもが着替えを頑張れるだけの時間を確保してあげることが大切です。
ただし、目標以外の身の回りのことは保育士が援助していいというわけではなく、食具の持ち方など他のことも声掛けや援助を行うことが大切です。
基本的には子どもが身に付けていけるように援助は行うけれど、今月は特にこれに力を入れる という目標設定となります。
4.他の保育士との情報共有
子どもが今どのような発達状況で、どのようなことができるようにしていきたいのかなどを、クラス内やフロア内で共有していくことが大切です。
クラス内で子どもの発達や様子を共有し、そこから今後の姿や目標について話をし、どのように援助を行っていくべきか方向性を話し合います。
クラス内の保育士が全員情報を共有しておくことで、どの保育士も同じように援助することが出来ます。
また、クラスでの援助方針が決まった時には乳児フロアやフリーの保育士など、関わりのあるクラスにも情報共有を行うことが大切です。
クラス内のことであっても、担任が休みの日にフォローに入ってくれる保育士や、関わりがあるクラスには伝えておくことで、協力してもらいやすくなります。
5.他の保育士に相談する
時間配分がうまくとれない・どうしても身の回りのことを子どもに自分でさせることができないという時には園長や主任、他クラスの保育士に相談することが大切です。
クラス内だけでは解決案が出なくても、相談することで新たな解決案がでる可能性があります。
また、他の保育士にクラスの現状をしってもらうことで、余裕がある時にはフォローに入ってもらえるような協力体勢がとれる可能性もあります。
できないからしょうがないと諦めてしまうのは子どものためにもならないため、解決できるように他の保育士にも積極的に相談することが大切です。
マンモス園ではどうしても時間に追われてしまうことが多く、「やらせてあげたいけどできない」という状況が発生しやすい傾向にあります。
しかし、保育園は子どもに基本的生活習慣を身につけさせてあげる場でもあります。
どうしたら子どもに身に付けてもらうことができるのかを、今回紹介した内容を参考に他の保育士と相談し、限られた時間の中でも余裕をもって保育を進めていってみてください。