5歳児の一人担任が不安、、、
5歳児は多くの園で一人担任を任されることの多いクラスです。
一人担任と聞くと、全て一人で仕事をこなさなくてはいけないのではないか、一人で子どものことを見れるのかなど、不安を感じてしまいます。
今回は5歳児担任の仕事内容を紹介しながら、一人担任を任された時の乗り越え方について紹介していきます。
5歳児の配置基準
国による5歳児の配置基準は「おおむね30人に対して保育士1人」と定められています。
乳児の場合は市町村で国で定められている基準よりも保育士の人数を多く定めて手厚く保育を行えるようにしていることも多いですが、4.5歳児は国の基準と同じ基準で定められている場合がほとんどです。
子どもの人数が多い保育園では、1クラスあたりの子どもの人数を30人以下にして、5歳児を2クラスにすることもあります。
5歳児担任の仕事内容
5歳児の担任になると、日々の日誌や月案などの仕事に加えて、保育要録や小学校への引継ぎ、卒園文集やアルバム作成など、卒園に向けた業務を行う必要があります。
また、5歳児では年明け頃から小学校入学に向けて午睡がなくなる園が多く、その時間を使って勉強をする園もあります。
就学に向けて時計の読み方や数字やひらがなを読める、名前を書けるようにするなどの援助も必要になってきます。
年明けから取り組んでも身に付けるのが難しい子どもも多いため、日々の活動の中でひらがなや数字に慣れ親しめるような活動を計画的に取り入れて保育を行うことが大切です。
保育要録とは
子どもの成長過程や園での様子をまとめて記録し、小学校へと引き継ぐ書類です。
保育要録には「最終年度の重点」「個人の重点」といった、年長児にどのようなことに重視して保育を行っていたのかを記入する部分と、「最終年度に至るまでの育ち」という入園から卒園までの成長の記録を記入する欄があります。
そのため、児童票などを見返して育ちを記入したり、必要に応じて当時の担任とも連携をとって保育要録を進めていくことが大切です。
保育要録を1から30人分書くのはとても大変なので、4月から個人の成長や気になる点をこまめに記録しておくと、後からどのような成長や関わりをしてきたのか見返すことができ、記入が少し楽になるのでおすすめです。
5歳児担任としての関わり方
どのような点に注意して関わればいいのかについて紹介します。
1.子どもの主体性を育む
小学生になると先生が常に教室にいるわけではなく、自分で考えて行動することがとても大切になってきます。
そのため、子どもが自分で考えて行動できるよう主体性を育むような関わりをすることが重要です。
保育士が全てを決めたり説明したりするのではなく、運動会でリレーの順番をどうするか子ども達で試行錯誤して決める、生活発表会で何の劇・何の役をするのかを子ども達で話し合う、クラス内で問題が起きたときにクラス全体で原因や対策を話し合って考えていくなどの活動がおすすめです。
多少の口論になってもすぐに援助せずに見守り、解決が難しそうな時にはヒントをあげることで解決に導くことが大切です。
2.小学校入学に向けての取り組み
先ほども紹介した通り、ひらがなでの名前の読み書きや数字の読み書き、時計の見方など、小学校への入学に向けた取り組みを行っていくことが大切です。
ひらがなは小学校でも教えてくれるので、全てのひらがなを書ける必要はありませんが、自分の名前程度は書けた方が入学後の子どもの戸惑いが少なくなります。
遊びの中に取り入れる時には、子どもを何グループかに分けてグループごとに決まった文字を探すゲームなどがおすすめです。
ひらがなへの興味は3歳児クラス頃から強く見られるようになってくるため、幼児クラスで話し合い、早い段階からひらがな遊びを取り入れると5歳児クラスで焦ることが少なくなります。
時計の読み方についても、少しずつ伝えていけるといいです。
特に小学校では授業時間や休み時間が決められているため、自分で時計を見て行動することが大切になってきます。
着替えや支度の時間に「長い針が10、50分になるまでに着替えようね」などと、針の位置と分の読み方を伝えながら、時間を見て行動する習慣を付けていけると子どもの戸惑いが少なくなります。
3.自信を持てるようにしていく
主体性を持って子どもが考えて行動したことが上手くいったり、時間を守れたりしたときにたくさん褒めてあげることで、子どもの自信に繋がります。
自信がつくことで子どもの自己肯定感も育ち、様々なことに挑戦したり、積極的に行動したりできるようになっていきます。
4.助けを求められるようにする
小学生になると先生が常に教室にいてくれるわけではないので、困った時に自分から助けを求める力が必要になります。
保育士が見ていると、子どもが何で困っているのか言われなくても気持ちを察して声をかけることは簡単です。
しかし、5歳児では声をかけたい気持ちを我慢して子どもが言ってくるのを待つことも大切です。
どうしても子どもが言い出せない時には「どうしたの?」と声をかけ、困っている理由を子どもが言えるように誘導します。
「そうだったんだね。もし先生が聞く前から困っていたのなら、困った時にすぐに自分で言いに来ていいんだよ」と、子どもの困り感を受け止めながら、自分で助けを求める大切さを伝えていくことで、次第に自分から困ったことを伝えられるようになっていきます。
5歳児の一人担任の乗り越え方
5歳児の一人担任を乗り越えるためには、卒園時の姿を考え、それに向けて計画的に保育を行うこと、困った時には周りの保育士に協力を求めることです。
卒園間近になって「これもあれもまだできていない」と焦らないために、5歳児担任になることがわかったら、卒園時にどのようなことができるようになっていてほしいのかを考えます。
そして引継ぎなどで今の子ども達の様子を知り、卒園時にできていてほしいことを達成するために4月からどのように保育を進めていけばいいのかを大まかにでもいいので決めておくと焦らずに済みます。
また、一人で子どもを見ていると日々の保育の中での困り感を誰にも相談出来ないのではないかと不安になることがありますが、援助方法や保育の進め方に悩んだ時には周りの保育士や園長主任に相談して1人で抱え込まないことが大切です。
また、年度の後半になると要録なども増えて仕事が多くなります。
保育士に余剰がある時にはクラスに入ってもらい保育を変わってもらったり、午睡時間に抜けさせてもらったりして仕事を進められるような環境づくりも大切です。
5歳児の一人担任と言われると、小学生に向けて色々とやらなくてはいけないのに1人で仕事を全てやらなくてはいけなくて不安に感じる保育士が多いです。
見通しを持って保育を行い、困った時には一人で抱え込まずに周りに助けを求めることが大切です。
5歳児の一人担任は確かに大変なことも多いですが、卒園式など感動する行事もたくさんあり、年度末には達成感でいっぱいになります。
大変なことばかりに目を向けて不安にならず、子ども達とたくさん遊び、楽しい思い出をたくさん作って楽しく見送れるようにしてください。