保護者との面談時間はどれぐらい取った方がいい?
保護者と面談できる機会を設けている園も多く、決まった時期に希望者と面談を行う園もあれば、保護者からの要望や保育士が面談を行いたいと思った時にいつでも面談をできる園もあったりと、面談の形式は園によって異なります。
今回は面談を行う理由やメリット、面談を行う時にはどれくらいの時間をとってどのように保護者と接するといいのかについて紹介します。
保護者と面談を行う理由
保護者と面談を行う大きな理由として、園での様子を知ってもらう・家庭での様子について聞き取るという目的があります。
例えば、家庭では手がかからず落ち着いていて困り感を感じていなくても、園では他児との関わりが上手くいかない、集団にはいれないなど困り感を感じる面が多々あるなど、園での様子と家庭での様子が大きく異なる場合があります。
園ではこういった姿が見られるということ、また、家庭ではどのように過ごしているのかなどを面談することで、今後どう援助や声掛けをしたらいいのかについて保護者と話をすることが出来ます。
保護者と面談を行うメリット
保護者と面談を行うことによるメリットを紹介します。
1.園での様子を知ってもらうことができる
家庭での様子と園での様子が違うというのはよくある事なので、園での様子を詳しく話せる機会を設けることができるというのは大きなメリットです。
普段の申し送りで様子を伝える時には周りに他の保護者がいたり、子どもが保護者に気が付いてゆっくり話せなかったりするので、面談を行うことで気兼ねなく話をすることができます。
2.家庭での様子を知ることができる
例えば園で給食の時に箸がうまく使えない時に、話を聞くと自宅では補助箸を使っていて普通の箸は使っていなかったなど、家庭での様子を聞くことでわかることもたくさんあります。
家庭での様子を知ることで、「園では箸がうまく使えなくても「これで食べる」と頑張っているので、家庭でも時間のある時など普通のお箸にも挑戦してみてください」など、家庭との連携を図ることが出来ます。
3.保護者の悩みを聞くことができる
育児に対して、園に対してなど、保護者は子育てをする中で悩みを感じていることが多いです。
普段の申し送りの時にはいえないような悩みも、面談の機会を作って話をしていくうちに悩みを引き出して聞くことが出来ます。
保護者支援も保育士の大切な仕事の1つなので、保護者の悩みを聞いてできるだけ解決に導いていくことが、子どもが健やかに育つことにも繋がります。
「こういう風に思っていたんだ」「そういう風に考えるのか」と、保護者の考えを聞けることは、保育士にとっても新たな発見となり、成長の機会になります。
保護者と面談を行う時のポイント
保護者と面談を行う際のポイントについて紹介していきます。
1.面談時間
面談時間は15~30分程度で設けることがおすすめです。
園での様子を伝えるのに5~10分、そこから家庭の様子や保護者の悩みを聞くのに10~20分程度と考えておくといいでしょう。
面談がスムーズにいった場合には予定時間よりも早めに切り上げたり、次に待っている人がいなければ面談時間をのばしたり臨機応変に対応することも大切です。
ただし、保護者と今後について相談した時など、意見がまとまらなかったり衝突してしまう時には、時間をかけて無理にその日に解決しようとせず、途中で切り上げてお互いじっくり考える時間を設けてから再度面談の日程を組むなどの工夫も必要です。
2.面談内容
保護者から事前に「子どもの落ち着きがなくて困っていて、少し話を聞いてもらえませんか?」など、具体的に話したい内容が決まっている時には、その内容に沿った園での様子を伝えます。
特に事前に内容が決まっていない場合には、これまでの姿から今に至るまでの成長の様子や、課題点などについて話ができると良いでしょう。
例えば5.6月頃の進級してすぐの面談の場合は、「環境が変わってこのような様子だったが、今はこんなことができるようになった」など、年度末の面談の場合は「秋頃まではこのような様子だったが、今はこんなことができるようになった」など、成長を感じられる様子について具体的に話すことがおすすめです。
また、こちらから話したい内容はあらかじめ紙などにまとめておいて、、簡潔に話ができるようにすることが大切です。
3.伝え方
成長を伝える時には、ありのまま伝えて一緒に成長を喜べばいいのですが、課題点や困っていることを伝える時には、伝え方に工夫が必要です。
「友達に手を出してばかりで困っているんです」と伝えられると、保護者は子どもや自分の育て方を責められているような気持ちになってしまいます。
「自分から友達を誘って遊ぶことがとても上手になり、色々な友達と遊ぶようになったからこそ、友達とのトラブルも増えてきて、手が出てしまうことがあるので少し気にしてみているのですが家庭ではどうですか?」など、どうして手が出てしまうのかをマイナスな事だけにならないように伝えることが大切です。
4.聞き方
保護者の話を聞くときには、共感・要約・復唱をすることが大切です。
例えば「家ではいうことを全然聞かなくて困っているんです」と言われた時に「園でも保育士の話を全然聞いてくれないんです」や「保育園では全然そんなことないですよ」など、変に共感や否定をすると、「やっぱりうちの子って…」「家庭での関わり方が悪いのかな」など、保護者を傷つけてしまう可能性もあります。
「家では言うこと聞いてくれないことが多いんですね。それはお母さん大変ですよね」など、復唱しながら大変だという気持ちに共感をすることで、「そうなんです。この前もこんなことがあって」など、更に話を引き出せることもあります。
保護者の話がうまくまとまらない時には、保育士が要点をまとめて要約し、それを復唱すると「そうなんです」と、保護者が「この先生はわかってくれる」と感じることができ、信頼関係を作ることにも繋がります。
「お友達と上手く関われているのか不安で」という悩みには「お友達との関わりが不安なのですね。どうしてそう思われたのですか?」など、具体的に理由を聞くことも大切です。
それが漠然とした悩みであれば「園ではどのお友達とも仲良く遊ぶことができていますよ」など、否定をして安心させてあげることも1つの手ですが、具体的なきっかけがあって不安を感じている場合には「そんなことが合ったのですね。それは不安になってしまいますよね」と共感した後に園での様子を伝えるとスムーズに話が進みます。
保護者との面談は、家庭との連携を図るうえでとても大切なもので、保護者との信頼関係を築くうえでも欠かせないものです。
一方で、伝え方や聞き方を間違えると信頼関係が傷ついてしまう可能性があるため、今回紹介した内容も参考にしながら、丁寧に面談を行う必要があります。
特に子どもに対して園での困りごとを伝える時には、子どもが悪者になったり、保護者が傷つかないような言い方を考えることが大切です。
保護者との面談前に、保護者役と保育士役でロールプレイングを行って伝え方を確認するのもおすすめです。
面談を通して子どもが安心して元気に楽しく園生活を送れるように保護者と協力していけるといいですね。